コロナが小売業の上位寡占化を加速 これからも大型再編不可避の理由とは?
東証区分変更は再編の引き金となるか
この先にも再編トリガーになるかもしれないトピックスがある。それが、東京証券取引所(東証)による「市場区分変更」問題である。
東証は22年4月に市場区分を変更する。これにより、市場第一部を筆頭とする現行5市場は、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに再編される。再編後、現行の東証一部に代わる位置づけとなるプライム市場に残留するためには、時価総額1000億円以上かつ売上高100億円以上、もしくは直近2期の利益合計が25億円以上、流通株式比率35%以上など、一部の企業にとっては高いハードルともなりうる、数々の要件が設定されている。
流通に詳しいあるアナリストは、「現状、東証一部には約2000社が上場しているが、これらをクリアしているのは半分にも満たない。プライム市場から“降格”となれば、地元でのブランド力や融資の受けやすさに加え、採用活動にも影響しかねない」と指摘する。
21年4月にライフが流通株式比率上昇を目的に、自己株式400万株を消却することを発表するなど、大手はすでにプライム市場移行を念頭に置いた策を打ち始めている。とくに中堅以下のチェーンは、自力での“プライム残留”が難しいとなれば合従連衡も視野に入ってくるかもしれない。
そのほかにも、SDGs(持続的な開発目標)推進、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、EC対応など、中長期で成長をめざしていくうえでは投資は避けられない。そうした投資を行っていくためには、ある程度の企業規模が必要であり、M&Aという選択肢は常について回るはずだ。
先行き不透明ななか、あちこちに再編の火種が燻る流通業界。21年も大型M&Aが見られるか──。大再編に備え、各業態の寡占化動向を確認しておこう。
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