コロナが小売業の上位寡占化を加速 これからも大型再編不可避の理由とは?
異業種M&Aが活発化!ボーダーレス競争が加速?
これらコロナ下で行われた再編で特筆したいのは、異業態によるM&Aが多かったという点だ。
前出のニトリHDによる島忠買収はまさに代表例で、これによりニトリHDはHC初参入となる。ニトリHDといえば、21年2月期決算で34期連続の増収増益を達成するなど、小売業全体で見ても屈指の収益性を誇る。有力異業種プレーヤーの参戦が、HCの寡占化を加速させるきっかけとなる可能性はゼロではない。
一方、中堅DgSチェーンであるクスリのアオキホールディングス(石川県)は地場SMを次々と買収しており、20年6月にはナルックス(石川県)、同10月にはフクヤ(京都府)、今年5月にはサン・フラワー・マリヤマ(石川県)を傘下に収め、さらに6月にはスーパーまるも(茨城県)のSM事業も承継する予定だ。
これまでのローカルSMのM&Aは、アークスをはじめリージョナルチェーンが受け皿になることが多かったが、今後はDgS企業もその役割を果たしていくことになるのか。生鮮強化型DgSはもはや珍しい存在ではなくなりつつある。「フード&ドラッグ」によるSM買収の動向が注視される。
そのほかでは、EC勢によるSM企業への資本参加も見られた。楽天グループ(東京都)は21年3月、子会社を通じて、以前からネットスーパーなどで協業関係にあった西友(東京都)の株式20%をウォルマート(Walmart)から取得した。西友株の過半数(65%)は米投資会社のKKRが握るものの、EC企業のリアル参戦は業界の注目を集め、今後のシナジー創出が期待される。
このように、20年から21年にかけては異業種を対象としたM&Aが多くみられた。こうしたM&Aが増えていくとなると、業態別のマーケットシェアという枠組みだけではいま起きている競争の全体像をとらえられなくなるかもしれない。そのためにも今後は異業種の寡占化動向もチェックする必要が出てきそうだ。
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