東レ、通期純利益予想を上方修正 国内外の経済回復が前提
[東京 9日 ロイター] – 東レは9日、2021年3月期連結決算(国際会計基準)の純利益予想を前期比53.7%減の390億円に上方修正したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大は収束に向かい、国内外の経済が緩やかな回復基調をたどることを前提としている。従来は340億円を見込んでいた。
同社はまた、売上収益予想を同10.6%減の1兆8700億円、事業利益予想を28.3%減の900億円にそれぞれ引き上げた。
電話会見した岡本昌彦取締役は、上方修正の理由について「第3・四半期累計期間の業績動向に加え、市場環境の変化などを踏まえた」と説明した。
IBESのコンセンサス予想では、アナリスト13人による純利益の予想平均値は366億円となっている。
同時に発表した20年4―12月期の連結純利益は前年同期比62.8%減の278億円だった。東レは、米国の炭素繊維子会社で減損損失を計上している。売上収益は同14.0%減の1兆3642億円、事業利益は35.7%減の669億円となった。
事業別にみると、繊維事業の事業利益は41.7%減の280億円。衣料用途では、各国での都市封鎖(ロックダウン)や過剰な流通在庫から需要が低迷した。産業用途は、一般資材用が低調に推移し販売数量が減少した。
機能化成品事業は、1.4%増の476億円。第3・四半期に入り、樹脂事業やケミカル事業などが好調に推移した。
炭素繊維複合材料事業は、37億円の赤字(前年同期は181億円の黒字)だった。航空宇宙用途で、民間旅客機の月間生産機数が減少した。
岡本取締役は来期の見通しについて、堅調に推移している機能化成品事業は好調を維持するとみる一方で、炭素繊維複合材料事業は厳しい状況が続くとの見方を示した。