ヤオコー20年度上期決算は「価格」「若い世代取り込み」で大幅増収・増益 下期は設備投資と低価格対応に注力

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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下期は設備投資を強化、販促の工夫も不可欠

 下期は引き続きMD強化や生産性向上の取り組みも行いつつ、設備投資に注力する。11月に予定している、旗艦店の1つ「所沢北原店」(埼玉県所沢市)のリニューアルオープンを含め、新規出店5店舗、大型改装10店舗を予定している。また、ヤオコーは「八百幸成城店」(東京都調布市:2017年11月開業)を皮切りに都心部への出店拡大をめざしていたが、コロナ禍で郊外への人口流出が指摘されている現在もこの方針は変更しない見通しだ。もともと得意とする郊外エリアを抑えつつ、積極的にシェア拡大をめざす。

 また、コロナで需要が急激に高まったネットスーパーの事業拡大も急務だ。上期の売上高は対前年同期比で171%まで伸長したが、現状配送キャパシティが売上のボトルネックになっている。今後も続くとみられているネットスーパー需要への対応のため、展開エリアの拡大とともに配送インフラの整備も推進する。

 販促面では、下期はより価格を意識した消費行動が強まるとの予測から、チラシ販促は引き続き重要施策として位置付ける方針。ただし、コロナ対策として4月に行った折込チラシの中止などを通じて、エリアによってチラシへの反応が異なるという傾向もみえてきた。商圏シェア率がすでに高い郊外エリアでは、遠方からの集客効果などチラシの果たす役割は大きいが、競合が多く都心に近いエリアでは、チラシよりもEDLP(エブリデー・ロープライス)を展開する方が売上につながったという。今後はこうした地域ごとの特性も考慮しつつ、顧客層の拡大に努める。

 21年3月期通期の見通しについては、「9月からの売上動向を見る限り、当初想定していた以上に厳しくなる。ただし、対策に奇策はない。引き続き品揃えの充実と価格訴求など、売上につながる手立てに集中する」と川野社長。コロナ特需の反動が予想される22年3月期については「ハードルは高いかもしれないが、現時点では22年3月期も増収増益をめざす。無理に達成しようとすることで社内にゆがみが生じてはならないが、めざすことでより成長につながるのではないか」とも川野社長は語った。

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