国内企業物価4月は前年比-2.3%、16年11月以来の下落率 原油安で
[東京 15日 ロイター] – 日銀が15日に発表した4月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比でマイナス2.3%で、2016年11月(マイナス2.3%)以来の低下率だった。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比マイナス1.6%で、予測よりも大きなマイナスとなった。前月比はマイナス1.5%で、3カ月連続のマイナスだった。
新型コロナウイルスの感染拡大で、原油をはじめ石油・石炭製品や化学製品、非鉄金属など市況性の強い製品の価格下落が指数の押し下げに寄与した。
消費税を除いたベースでは前年同月比マイナス3.7%、前月比ではマイナス1.4%で、ともに3カ月連続マイナスだった。
消費税を除くベースで、前月比の下落に最も寄与したのは石油・石炭製品(前月比マイナス19.6%)。統計開始以来、過去最大の下落率となった。
続いて、化学製品(同マイナス3.4%)、非鉄金属(同マイナス1.5%)。いずれも、コロナ感染拡大を受けて、海外での価格が下落したことが指数を押し下げた。化学製品の中でも、ナフサ由来の商品は原油価格に基づく値決めになっている。
また、緊急事態宣言を受けた経済活動の停滞による国内需要の減退から、鉄鋼価格が下落する動きもみられ、鉄鋼は同マイナス0.3%だった。
新型コロナ感染拡大による価格の押し下げが幅広い品目に広がる中、豚肉、鶏卵など農林水産物は外出自粛要請に伴う「巣ごもり消費」で需要が増加し、同プラス0.8%だった。
消費税を除いた実力値ベースで上昇・下落した品目を数えると、公表744品目のうち、前年比で上昇したのは262品目、下落したのは品目383と、下落が上昇を121品目上回った。
日銀の担当者は当面はコロナの影響が国際市況や国内外の経済活動を通して「企業物価全体に大きな影響を与える展開が続くだろう」と述べた。
原油価格の影響について、SMBC日興証券シニアエコノミストの宮前耕也氏は「仮に原油価格が年末にかけて1バレル=40ドルくらいに持ち直しても、前年比では(原油の)マイナスが続くだろう。原油安の影響で企業物価への下押し圧力は年後半にかけて続くだろう」と予測した。