京セラ、21年3月期の当期利益18.3%減を予想 5G順調・自動車重し
[東京 27日 ロイター] – 京セラは27日、2021年3月期の連結当期利益(国際会計基準)が前期比18.3%減の880億円になりそうだと発表した。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均は1076億円。
次世代通信網「5G」サービスの普及や半導体市場の回復が見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的な景気低迷が継続し、自動車関連市場向け部品やドキュメントソリューション事業の需要が低迷すると予想している。
見通しについて同社の谷本秀夫社長は電話会見で「第1・四半期(4―6月)までは現在の不安定な状況が続くが、第2・四半期(7―9月)以降は期末に向けて徐々に回復すると仮定し算出した」と述べた。
セグメント別の事業利益予想は、産業・自動車用部品が前年比17.8%減の130億円、半導体関連が1.7%減の300億円、電子デバイスが7.1%増の340億円とした。
谷本社長は電子デバイスのみが増益とみる背景について、自動車関連とドキュメント関連の2つはかなり苦労するとみているが、5G関連の情報通信関連や、スマホ・パソコン・タブレットに使用される電子部品は比較的順調な受注を得ていると説明。「電子部品は少なくとも前年並みぐらいにはなるのではないか。自動車以外の電子部品関係は、比較的好調だろう」と語った。
前年に振るわなかった半導体関連は、今年は5G関連の半導体やメモリー関連が比較的好調で、それに伴って半導体製造装置も今のところ順調だとし「情報通信・半導体の関連事業は落ち幅が小さいのではないか」との見方を示した。
前提為替レートは1ドル105円、1ユーロ115円。
2020年3月期の当期利益は前期比4.4%増の1077億円だった。
M&Aの効果もあって産業・自動車用部品の売り上げは増えたが、在庫調整の長期化とコロナ影響で世界景気が減速したことを受け、電子デバイスやドキュメントソリューションの売り上げが減少した。一方、ソーラーエネルギー事業と有機材料事業で前連結会計年度に計上した構造改革費用がなくなり、利益は増加した。