20年公示地価、商業地の堅調続く 4市除く地方28年ぶり上昇

ロイター
Pocket

上空からみた都内
3月18日、国土交通省が発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、全国の住宅地は3年連続、商業地は5年連続で地価が上昇し、いずれも上昇基調を強めている。都内で2019年6月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 18日 ロイター] – 国土交通省が18日に発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、全国の住宅地は3年連続、商業地は5年連続で地価が上昇し、いずれも上昇基調を強めている。三大都市圏に加えて地方圏でも上昇基調は強まっており、特に札幌、仙台、広島、福岡の4市の上昇基調が拡大。これら地方4市を除く地域でも全用途平均・商業地が1992年以来28年ぶりに上昇。全国的な地価の回復傾向が続いている。

商業地、オフィスビル需要が堅調 地方でも上昇傾向

全用途の全国平均は前年比1.4%上昇し、2019年の1.2%上昇から伸び率は小幅に拡大。5年連続のプラスとなった。地方圏では同0.8%上昇し、2年連続でプラスとなった。

このうち商業地は全国平均で同3.1%上昇となり、前年の同2.8%上昇から伸びは小幅に拡大。 その背景には、1)オフィスビル需要が堅調で、空室率の低下から賃料の上昇傾向が継続していること、2)外国人観光客をはじめとする国内外の訪問客の増加により、収益性の向上が見込まれる店舗やホテルが進出していること、3)交通インフラの整備や再開発で利便性が向上していること――などがある。

地方圏でも上昇傾向は続いており、地方4市を除く「その他」の地域でも地価が28年ぶりに上昇し、前年比0.3%上昇となった。

東京、大阪、名古屋の3大都市圏も同5.4%上昇(前年同5.1%上昇)に伸び率を高めた。

住宅地、「その他」地方も下落から脱出

住宅地は全国平均で同0.8%上昇し、昨年(同0.6%上昇)から伸び率を小幅に高めた。

3大都市圏(同1.1%上昇)、地方圏(同0.5%上昇)の上昇幅は小幅に拡大し、地方4市を除く「その他」の地域は0.0%で、1996年から続いていた下落から一転、横ばいとなった。

国土交通省は住宅地について、雇用・所得環境の改善が続く中で、低金利環境の継続や住宅取得支援施策などによる需要の下支え効果もあり、「交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調」としている。

中でも、閑静な住宅街や、小学校、中学校などの教育環境がよく、商業施設など大型店舗があるエリアでの地価上昇が顕著だという。

国土交通省は、1月1日時点の調査であり、新型肺炎の影響は見られていないと指摘。消費増税の影響についても「マーケットに変化はみられない」(不動産鑑定士)という。

20年公示地価は全国2万6000の調査地点(うち、福島第1原発事故の影響による7地点は調査休止)を不動産鑑定士2398人が鑑定し、土地鑑定委員会が審査した。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態