家庭内で出る食品ロスは流通の何と4倍強!削減に向けた小売業の関わり方とは?
ロスの半分は家庭で発生?
日本を含むアジア先進国では、食品ロスの46%は消費者の段階で発生しているというデータがあります。世界資源研究所(World Resources Institute)による2011年の調査です。これによると流通・店舗段階のロスは11%に過ぎません。
消費者段階のロスが大きいのは先進国に共通しています。北米・オセアニアの61%、欧州の52%に比べればアジアのロス率は低いわけですが、世界で発生する食品ロスの量的な内訳を見ると、先進アジア地域が28%で最大、北米・オセアニアの2倍にもなります。
先進アジア地域は日本だけではありませんし、調査自体が10年も前のものですし、調査結果は日本の問題ではないと、たかをくくれるでしょうか? たとえば皆さんは、自宅の冷蔵庫に何が入っているか、完璧に把握していますか? それらの食品の消費期限、把握できていますか?
冷蔵庫の見える化に、小売は踏み込めるか?
年末に自宅をチェックしたところ、やはり期限切れの食品はあるものです。中には開けさえしないまま期限を超過した調味料もありました。
なぜこんなことになるかといえば、冷蔵庫というものは、扉を閉めるとブラックボックスと化すからに違いありません。まずは整理・整頓して把握しやすい状態を作らねばなりません。これは一定のニーズがある問題のようで、ウェブや書籍でも冷蔵庫の整理術は数多く紹介されています。
次に情報の「見える化」です。ストックの消費期限をリスト化し、一覧できるようにすべきでしょう。これも専用アプリが多くリリースされていますが、私は期限を知るだけで十分なので、リマインダーアプリを応用することにしました。
消費期限をリスト化するアプリを物色していて思ったのですが、このような機能を小売のアプリが実装したらどうでしょう?
購入履歴のリストに、本当は自動で消費期限も入ればベストですが、手入力でも手間は今と変わりません。とにかく購買履歴を消費期限の時系列でリスト化できれば十分です。使い終わってそのリストを消去する際に、その商品の現在の店頭価格をチェックできたり、そのままネットスーパーで購入できたりすれば、消費者には便利だし、店は顧客の囲い込みにつながるのではないでしょうか。
しかし現時点ではすべて夢物語です。現状では、購入履歴さえ確認できないアプリがほとんどです。食品系の小売アプリに押しなべていえることですが、アプリ機能が販促情報に終始しており、消費者の生活視点で使える機能が極めて乏しいと思います。購入した商品が家庭内で消費されるまでをフォローする、消費期限の管理機能。いかがでしょう?