景気判断を下方修正、消費増税・台風の影響留意=10月月例経済報告
[東京 18日 ロイター] – 政府は18日、10月の月例経済報告で、景気の総括判断を「輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」として、前月の判断「景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」を5カ月ぶりに下方修正した。世界経済の減速による輸出回復の遅れに加え、消費増税後の消費者マインドや、台風19号の影響を注視するとの文言を加筆し、景気の下振れリスクを強調した。
今年、総括判断を下方修正したのは、3月、5月に続き3度目となる。最大の要因は輸出・生産の低迷。項目別では「生産」の判断を、前月の「横ばいとなっているものの、一部に弱さが続いている」から「このところ弱含んでいる」に引き下げた。輸出数量ベースで半導体は下げ止まり感が確認できるものの、工作機械などの資本財や自動車・自動車部品の減少が続いており、鉱工業生産全体の減少トレンドが明確になっているためだ。
企業の「業況判断」も、前月の「製造業を中心に慎重さが増している」との表現に「引き続き」との文言を加えることで下方修正した。日銀短観で製造業の設備不足感が解消されたことなどを反映した。
このほか、先行きのリスクに関する記述を増やした。海外リスクに関し、前月は「海外経済の動向と政策に関する不確実性」としていたが、今月は「英国の欧州連合(EU)離脱の行方等の海外経済の動向」と詳述した。
また10月からの消費増税を踏まえ「税率引き上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」と指摘。更に「台風19号など相次ぐ自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある」としている。
他の個別項目は、いずれも据え置いた。個人消費についても「持ち直している」との判断を維持した。消費者態度指数は、前回消費税率を引き上げた2014年と似たトレンドで下落しているものの、実質総雇用者所得や消費総合指数がトレンドとして改善を継続している点を重視した。
増税前の駆け込み需要は、9月にエアコンなどで見られたが、14年と比べ駆け込みの時期が短く、反動も大きくないと期待している。
内閣府では現時点で、消費者マインドの悪化は世界経済減速に起因するとの見立てが主流で、世界経済の動向が引き続き最大のリスク要因だ。
加えて台風19号の被害も新たなリスク要因。河川氾濫による工場の操業停止や物流停滞、りんごなど農林水産業の被害の影響を注視している。北陸新幹線や箱根登山鉄道の不通で観光にも相応の影響があり得ると注視している。