街角景気、8月は猛暑で4カ月ぶり上昇 増税不安で先行きは悪化
[東京 9日 ロイター] – 内閣府が9日に発表した8月の景気ウオッチャー調査では、景気の現状判断DIが42.8で、前月比1.6ポイント上昇し、4カ月ぶりの上昇となった。7月の長梅雨の反動などが寄与したが、増税前の駆け込み需要は期待ほど盛り上がっていない。また、来月から実際に消費税が引き上げられることへの不安感や米中・日韓関係の悪化が懸念材料となり、先行きの景況感は悪化している。
企業動向関連と雇用関連では、前月から景況感が低下。米中摩擦による受注悪化などが影響した。企業からは「受注状況は分野によっては米中摩擦の影響で、減少に転じているものもある」(北陸・プラスチック製品製造業)との声があった。また、「中国向け輸出がストップし、出荷などが落ちている企業があり、採用活動が停止している」(甲信越・職業安定所)といった指摘も寄せられた。
他方、家計動向関連は上昇。7月の長梅雨の反動に加え、8月に入ってからの猛暑も影響し、「エアコンなど夏物商材が好調」(北陸・家電量販店)という。
一方、元安や米中摩擦の影響で「中国人ツーリストの購買力が落ちている」(南関東・家電量販店)といった声があるほか、「韓国の観光客でにぎわっていた商店街では売り上げが伸びていない」(九州・商店街)との指摘もあり、日韓の関係悪化も影を落としている。
消費税率の引き上げ前の客足については、「駆け込み需要を期待していたが、4月以降の来客数と変わらない」(南関東・乗用車販売店)など、全国的に盛り上がりはみられない。
2─3カ月先を見る先行き判断DIは39.7で、前月比4.6ポイント低下。前回消費税率引き上げが実施された1カ月前の14年3月以来の低水準。2カ月連続の低下となった。家計動向、企業動向ともに低下した。
実際に消費税率が引き上げられた後の落ち込みを懸念し、「増税前の電子決済の還元施策の刺激で多少は客が増えつつあるが、良くなると見込めるほどではない」(甲信越・スーパー)といった見方や、「日韓関係悪化、米中貿易摩擦、円高傾向などの不安要素が日を追うごとにエスカレートしている」(民間職業紹介機関)といった指摘がある。
内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「このところ回復に弱い動きがみられる」で据え置いた。
先行きについては「消費税率引き上げや海外情勢などに対する懸念が見られる」とした。