[東京 13日 ロイター] – 1月のロイター企業調査によると、原材料価格の上昇を販売価格に「転嫁できている」または「いずれ転嫁予定」と回答した企業は、11月調査時から10ポイント拡大し計64%となった。しかし、転嫁も一部にとどまっているほか、依然として3分の1強の企業が「転嫁できていない」としており、企業収益の下押し要因となっている。原油高対策や円安進行の阻止など、68%が国による物価上昇対策を求めている。
調査期間は2021年12月22日から22年1月7日まで。発送社数は502社、回答社数は244社だった。
原材料価格上昇を販売価格に「すでに転嫁できている」とした企業は21%(11月調査は14%)、「今はまだだがいずれ転嫁予定」とした企業は43%(同40%)となり、徐々にではあるが、価格転嫁が進んでいることが明らかになった。「売価への転嫁は、同業他社・他業態との競争上厳しいが、我慢できない状況になっている」(小売り)など、想定を超える原材料高は、企業の限界を超えている状況がうかがえる。
ただ、転嫁したとする企業からも「全体の半分ほどだが転嫁できた」(電機)、「全ての原材料価格の上昇分を価格に転嫁できないため、利益水準の低下は生じている」(輸送用機器)などの指摘があり、転嫁は一部にとどまっているようだ。
「転嫁はできていない」とする回答は36%だった。製造業の29%に対し、非製造業は46%で、情報サービス・情報通信や運輸・ユーティリティなどの業種で転嫁の遅れが目立つ。企業からは「競争が激しく業界として対応出来ず、疲弊している」(その他製造)、「需要そのものが伸びず、転嫁をすればさらに逆風」(サービス)などの声が聞かれた。
物価上昇は長期化、国の対策を
11月の国内企業物価指数は約41年ぶりの高い伸びとなった。
物価上昇が1―3月に落ち着くとみる向きは8%に過ぎず、23年以降も継続するとの見方が34%と、長期化を予想する声が多い。
こうした状況に対して、国による物価上昇対策を求める企業は68%にのぼった。具体的には、原油高対策が68%、円安阻止が39%、日銀による金融緩和の縮小が24%、新型コロナウイルス対策の特別措置の縮小が17%となった。
「米国の金利上昇に合わせて円安にならないように為替対策が必要」(紙・パルプ)、「過度な円安は輸入コストがかさみ、原油や原材料価格のさらなる上昇を招くと考えるため」(窯業)など、円安の進行には神経質だ。さらには、「中長期的に内需及び外需が拡大するような基幹産業政策の推進」(輸送用機器)など、日本の国力引き上げといった抜本的な改革を求める声や減税を求める声も複数聞かれた。