苦境乗り越え悲願の上場達成! 正木社長が語る「おかしのまちおか」の未来戦略

聞き手:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集長)
構成:小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

菓子専門店「おかしのまちおか」を展開するみのや(埼玉県/正木宏和社長)が、2025年7月に東証スタンダード市場への上場を果たした。菓子の卸売を祖業とする同社は、1997年に小売事業を開始。

以来、着実に店舗数を拡大し、現在は関東・中京・関西エリアに208店舗を展開する菓子専門店のリーディングカンパニーとしての地位を確立している。上場に至るまでの歩みや今後の展望について、正木社長に話を聞いた。

「株式上場は20年来の目標だった」

──東証スタンダード市場に上場しました。これまでをどのように振り返りますか。

正木  上場をめざしたきっかけは、20年ほど前に経営者向けのセミナーに参加したことです。会場にいたのは若い経営者ばかりで、自分が最年長でしたが、「年齢に関係なく、皆と同じように上場をめざしたい」と思ったのです。

 当時は卸売業から小売業に参入して8年ほど経った頃で、おかしのまちおかの店舗数は40~50店、売上高は50億円程度でした。ただ、そのときにすでに「将来的には上場は可能だろう」という自信はありました。

 一方で経営はアドバイザリーに頼ることなく独自でやってきたため、上場会社としての仕組みや制度はほとんど整っていない状態でした。いわば白いキャンバスに絵を描くように、役員会を設けたり、正確な数字を管理できる体制を整えたりしてきました。振り返れば、上場というゴールを先に設定したから、それに向かって会社の組織をつくり上げていくことができたのだと思います。

おかしのまちおか ららテラス北綾瀬店外観
25年5月にSC内にオープンした「ららテラス北綾瀬店」の外観。おかしのまちおかは近年、SC内への出店を加速させている

──上場までの20年間の中で最も苦労したことは何ですか。

正木  最も苦戦したのは、店舗の収益力向上です。かつては、「売上さえ上げればなんとかなる」という考えで、

本記事でわかることは

  • 価格競争力だけでなく、賞味期限が近い商品や季節の余剰在庫を安く仕入れることで、常に手頃な価格を実現している。

  • トレンドや輸入菓子なども取り入れ、店長に一任した柔軟な品揃えと陳列で、顧客を飽きさせない売場づくりをしている。

  • 路面店での接客経験を活かし、接客による顧客とのコミュニケーションを大切にしながら、利便性の高いセミセルフレジの導入を進めている。

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聞き手

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集長

1987年石川県生まれ・東京都育ち。上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。編集記者、副編集長を経て25年4月より雑誌ダイヤモンド・チェーンストアおよびダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長。

これまで、企業特集(トライアルカンパニー、大創産業、クスリのアオキ、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。趣味は無計画な旅行とサウナ。最近は年齢相応(?)にランニングにハマり、フルマラソンも完走。

構成

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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