“YAKITORI”を世界共通言語へ! 「鳥貴族」が描く海外戦略成功のシナリオ
出店国ごとの特性を踏まえ最適な戦略を徹底
24年9月に進出した台湾では3店舗を展開しており、現地の畜産・食品業界の最大手「大成集団」との合弁事業を通じて出店を進めている。清宮氏はこの提携について「鶏肉の安定供給と出店機会確保の双方を実現できるため、非常に理想的なかたち」と説明する。
香港には24年12月に進出し1店舗を構える。現地の食品製造・販売大手「四洲集団」とフランチャイズ契約を締結して参入した。その結果、開店初日には鳥貴族全店舗の中で過去最高の売上を記録し、その後も高水準の業績を維持しているという。
中国本土では4店舗を展開している。上海郊外の商業施設を中心に、郊外へ展開する「ドーナツ出店戦略」を採用。賃料の高い都心部を避ける一方で、全品18元(日本円で約365円)均一とし、名物「貴族焼」は日本の1.5倍サイズで提供するなど、現地の市場環境に徹底的に合わせた店舗づくりを行っている。

このように、出店国ごとに特性を踏まえた最適な戦略を徹底することで、「すべてが想定をはるかに上回る好調ぶりだ」と清宮氏が語るほどの成果が出ている。すでに同氏も、さらなるスピード感を持って展開を進める必要性を感じており、海外事業は順調な立ち上がりを見せている。
まだ海外進出は初期フェーズではあるものの、今後の目標達成に向けては、人材育成が重要になってくる。これに関して清宮氏は、「『グローバル幹部研修』のような人材育成プログラムの確立を構想している。具体的には、各国のリーダーを日本に招き、鳥貴族の理念や焼き鳥文化を深く理解してもらう場としたい」と説明する。
あわせて、サプライチェーンの最適化や現地適応を進めつつ、「鳥貴族品質」と「焼鳥愛」を全店舗で一貫して提供できる実行力が問われる。“仲間や家族”という価値観を世界中で広げていくことで、同社の掲げる「YAKITORIの世界言語化」というビジョンは、より現実味を帯びてくる。









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