「ESG経営の第一走者」を標榜 無印良品の環境・社会配慮型商品開発の全容

西岡 克(フリーランスライター)

マットレスを3分割し長く使えるベッドに

 生活雑貨では、スキンケアシリーズを23年に全面リニューアル。界面活性剤なども含め、天然由来成分100%に切り替えた。

 発酵液導入美容液・化粧液では、精米した後に廃棄されていた米ぬかを原料とした「米ぬか発酵液」を2年かけて開発。スキンケアシリーズのボトルには、ペットボトルの再生素材を100%使用している。

米ぬかを使用した発酵導入美容液
発酵液導入化粧液には廃棄されていた米ぬかを活用した。ボトルは再生素材を使用することによって、ガラスのような透明ではなくなり、黄味がかった仕上がりになるが、それは「再生PETの生成りの色」と捉えている

 また生活雑貨では、収納ケースなどの樹脂を使用する商品が多いが、そのうち83%は店頭回収対象としている。現在は約50商品に再生素材を使用しており、8月末までに対象を100商品以上に拡大する予定だ。25年5月からは、自社回収品を再資源化し、原料を一部再利用した商品を4商品発売している。

 再利用による循環を図る一方で、長く使える商品の開発にも力を入れている。ベッドではマットレスを圧縮仕様にし、フレームを組み立て仕様にすることで、パーツごとの交換やお客の店頭持ち帰りを可能にした。これにより輸送効率が高まり、輸送コストやCO2の排出量削減にも貢献できる。

 また、マットレスは分解できる構造にし、3分割のコイルユニットで構成する。コイルユニットの一部、カバー、クッション材など、必要なパーツだけを交換できるようにし、同じ商品を長く使ってもらうねらいだ。

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