「価格を上げられる」時代になったいまこそ、考えるべきこととは

桂 幸一郎(エイトハンドレッド)
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 咋年11月、大手総合スーパー企業がプライベートブランド(PB)の大規模な値下げを発表しました。また、ナショナルブランド(NB)商品についても、とくに加工食品では値上げが一段落しているというニュースも聞かれます。

 筆者は食品スーパー(SM)で買えるクッキーが大好きなのですが、某ロングセラーお菓子は、店頭価格が2年前と比べて6割ほど高くなっています。それでも売れているのは、消費者が「6割値上げしても、買う価値がある」と判断しているからです。

 ただ、人によっては購入をやめたり、購入頻度を減らしたりする場合もあるため、全体の販売数量は下落傾向というのが、販売価格と販売数量の関係性において正直なところでしょう。ちなみに、ここでいう「値上げ」とは「商品の大幅な仕様変更を伴わない、ただの価格変更」と理解してください。

スーパー イメージ
写真はイメージです(i-stock/Hispanolistic)

売価が下がる前提で商品企画していた時代

 今となっては信じられないかもしれませんが、かつて「商品の売価は下がるものだ」という前提で商品企画が行われていた時代がありました。2000年代初頭のことです。バブル崩壊後の「失われた10年」が10年で終わらず、「長引く不況」と世間ではとらえられていました。それでも、当時の日本の経済力は他国に比べてまだ強く、原料、物流、製造拠点の探索など、サプライチェーンを見直すことで商品コストを下げることが可能でした。

 筆者も当時、アジア全体で導入を企画していた商品について、パッケージの容量をどうすべきかを判断する際、「このカテゴリーの商品は、いずれ1本398円で戦わなければならないときがくるので、その時に値下げできる余地を残すために容量を少なくしておきましょう」と提言した記憶があります。その時「価格を上げても買ってもらえる価値ある商品を出し続ける」という前提で企画をしていたかというと、正直自信がありません。読者の皆さんもご存じのように、高くても買ってもらえる商品はそう簡単には開発できないからです。

 では、海外ではどうだったのかといえば、継続的に

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