組合員の“推し”を集める! 日本生協連のPB「コープ商品」の最新戦略
各地の生協が加入する全国連合会である日本生活協同組合連合会(東京都/土屋敏夫代表理事会長:以下、日本生協連)では、2022年以降、プライベートブランド(PB)「コープ商品」の改善と絞り込みを推し進めている。15年のリブランディング以降、おいしさ、簡便性、安全性などの価値を守りながら商品開発を行ってきたコープ商品。消費者の生活防衛意識が高まる中、現在はどのように商品開発を進めているのか。
生産性向上めざし商品の統合を推進
1960年の「生協バター」発売以来、65年の歴史を持つ日本生協連のPB「コープ商品」。25年3月期(24年度)第3四半期累計のコープ商品の供給高(一般企業の売上高に相当)は2719億円となり、対前年同期比1.4%増で推移している。
コープ商品は、全国の会員生協が会議で話し合って商品規格を決める「全国共同開発」、日本生協連と特定の会員生協が共同で開発する「エリア共同開発」、日本生協連のみで開発する「日本生協連卸開発」の大きく3つに分けられる。

商品開発時は「安全・安全を大切に、よりよい品質を追求」「おいしさ・使いやすさの追求」「社会とくらしに貢献」「利用しやすい価格」「分かりやすい情報」の「5つの約束」を基本方針とし、レギュラー商品と5つのサブブランドで商品を展開。20年度末まではアイテム数が拡大傾向にあり、5579まで増えていた。
しかし、商品政策の議論の過程で日本生協連は方針を転換。類似商品を統廃合するなど、アイテム数を削減することで生産性の向上に努めている。たとえば、ロースハムは2工場あった製造拠点を1工場に集約し、製造ラインの稼働効率改善につなげた。
23年度末に5132あったコープ商品のアイテム数は、24年度末に推計で約5000となる見込みで、28年度末には4500まで絞り込む計画だ。
商品改廃の進捗について、日本生協連執行役員 兼 ブランド戦略本部本部長の宮田智氏は「組合員の暮らしの中で必要な商品、支持を集めている商品があり、商品の絞り込みは慎重に進めている。改廃作業は一時的に停滞もあったものの、類似商品の統合が進み、全体としては28年の目標に向けて順調に推移している」と話す。

主力商品を中心に価格販促も強化
コープ商品を取り巻く環境は年々厳しさを増している。今後の見通しについて、
日本生協連第一商品本部本部長の長門氏は「為替や小麦、油脂などの主要原料相場の高騰に始まり、その後は人件費や物流費など、22年頃からさまざまなものの価格が上昇している。
この流れは25年も続き、今後は人手の確保も難しくなる。厳しい状況はしばらく終わりそうにない」と見る。その一方で「商品価値の維持に必要な値上げは徐々に受容され始めている」(宮田氏)という。
そうした状況下で、日本生協連は物価高騰分の価格への転嫁も進めている。コープ商品は22年以降、
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