オーケー進出で関西市場はこう変わる!ライフ、万代、有力小売の戦略は?

文:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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「関西強化」の企業続々、オーケーの成否はいかに

 オーケーばかりに目が行きがちだが、関西に新たな成長の礎を求める企業は数多く存在する。たとえば、オーケーと同様に首都圏で圧倒的な集客力を示して事業を拡大してきたロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)。

 同社は今や北海道から九州・沖縄、さらには台湾にまで店舗を有する全国チェーンで、関西(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)には11月末時点で計20店舗を展開し、関東に次ぐ規模の店舗網を構築している。

 また、東海・北陸地方を地盤とするバローホールディングス(岐阜県/小池孝幸社長)は「関西圏での売上高500億円超」を中期経営計画の目標の1つに掲げ、市場開拓を加速。M&Aのほか、傘下のSM企業バロー(同/森克幸社長)が大阪府を中心に積極的な出店を続けている。

 同様に関西での出店を強化するエリア外の企業としては、トライアルホールディングス(福岡県/亀田晃一社長)、大黒天物産(岡山県/大賀昌彦社長)、コスモス薬品(福岡県/横山英昭社長)、クスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長)など枚挙にいとまがない。

 さらにオーケー進出の陰に隠れがちだが、直近で新たに関西進出を果たした企業も複数ある。

 中部地方でディスカウントSMをメーンに展開するカネスエ(愛知県/牛田彰代表)は、11月28日に滋賀県大津市に関西1号店を出店。JMホールディングス(茨城県/境正博社長)傘下で「肉のハナマサ」を運営する花正(東京都/富澤夏樹社長)も、大阪府のローカルSM「スーパー玉出」の一部店舗を譲受し、10月に大阪市内で店舗を開業している。

 こうした流れでのオーケーの開業は、関西市場のこれからの混沌を決定づける“ダメ押し”の出来事になったともいえるだろう。本特集で現地調査を行ったKTMプラニングRの海蔵寺りかこ氏は「オーケーが成功を収めれば、関西へのさらなる新規参入を呼び起こすことになるだろう」と指摘する。

 ただ、オーケーが関西でも一気にシェアを伸ばせるかという点については、業界関係者の見方はさまざまだ。

 小売業界に詳しい某経営コンサルタントは、「関西はハイ&ローを徹底するチェーンが多く、消費者も“その日だけのお得感”を求める傾向が強い」と指摘。「オーケーの『毎日同じ価格で安い』というEDLP(エブリデー・ロープライス)がどう受け入れられるかは、現時点ではわからない」とみる。

 一方、とあるメーカーの営業担当は関西でもオーケー旋風が吹き荒れると予測する。「ハイ&ローかEDLPかという形態はさておき、NBを中心に多くの商品で、結局オーケーがマーケットの最安値に落ち着くはず。節約志向が高まるなか、それは強い来店動機を創出する」と断言する。

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雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

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