H&G併設型の最新店舗 業態転換で売場機能を明確化
コメリ(新潟県/捧雄一郎社長)が、大商圏型の「パワー」、小商圏型の「ハード&グリーン(H&G)」に続いて、第3のフォーマットとして育てているのが「PRO」だ。建築職人をターゲットとした同フォーマットの最新店舗「コメリPRO橿原店」の売場づくりを調査した。
調査日:5月16日、17日
業態転換中心に15店舗を展開
PROは大商圏型のパワーの資材館をスピンアウトし、建築職人のニーズに合わせて、建築資材、工具、金物、作業用品などプロユース商材を総合的に品揃えしたプロショップである。2024年3月期末で15店舗を展開している。
PROは14年8月、三重県津市にオープンした「PRO久居店」が1号店。01年に1号店を出店した「コーナンPRO」や08年開業の「ホダカ」と比べると、後発のスタートとなった。当初は業態転換を中心に店舗数を増やした。ここ数年は業態転換だけでなく、居抜き出店や、H&Gとの併設型など、出店のバリエーションを拡大している。3号店の四日市店(三重県四日市市)ではトラックに乗ったまま売場に入り、必要な商品を積み込んでワンウエーで会計もできるドライブスルー方式の資材売場を併設するといった、他社ではあまり見られないような特徴のある売場づくりも行っている。

今回、売場調査を行ったのは、24年3月17日にオープンしたPROの最新店舗「コメリPRO橿原店」(奈良県橿原市)だ。調査日はオープンから約2カ月後の5月16日、17日の2日間である。
H&G併設型で新規顧客を開拓
橿原店は売場面積が約2000坪の大型H&Gの店舗だったが、H&Gを約1200坪に縮小。約800坪のPRO店舗の併設型へとリニューアルした。これにより、奈良県内のコメリの店舗数は15店舗で、PRO業態としての出店は初となる。
同店は近鉄大阪線「真菅」駅から徒歩約13分の場所にある。橿原市は奈良県中部の都市で、奈良市に次ぐ県下で人口第2の都市。店舗周辺は住宅地が広がる一方で、道路を挟んで向かい側には食品スーパー「オークワ」、家電量販店、ドラッグストア、100円ショップなど商業施設も立ち並ぶ。橿原店は奈良県を東西に結ぶ中和幹線と、南北につなぐ橿原バイパスの交差点の近くにあり、大阪市内や奈良市内で仕事をする建築職人にとって利便性の高い立地となっている。周辺地域には工務店など建築関係従事者が多く、今回のリニューアルは彼らからの要望も後押しになったと推測される。
橿原店をH&GとPROに分離したことによって大きく変わったのは売場機能の明確化である。H&G店舗はハード商材を大幅に縮小することで、もともと得意としていた園芸と、日用品・家庭雑貨などソフトラインの商材を中心に構成。売場のダウンサイジングによって、普段使いで買い回りしやすく、平日でも開店時から主婦や年配男性など多くのお客が途切れなくやってくる。
一方、PROは一般客向けの売場と分離されたことで、職人にとって気兼ねなく立ち寄れる店舗となった。新たな顧客層の開拓を期待できる点もコメリにとってのメリットだ。
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