「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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ローカルスーパー1280愛媛県松山市で「スーパー日東」を展開する日東物産(愛媛県/服部雅企社長)。「オンリーワン戦略」を掲げ、わずか5店舗ながら各店各様の個性的な品揃えと売場づくりで地元消費者の強い支持を獲得している。「規模の小さい『地場ディスカウントストア(DS)』という位置だからこそできる工夫がある」という同社の取り組みを紹介する。

個店経営の「オンリーワン戦略」

 日東物産の創業は1962年、「あずま商店」として味噌やしょうゆなどの食料品を販売したのが起こりだ。70年代に現在の屋号「スーパー日東」へ変更するとともに本格的な食品スーパー(SM)を出して以降、徐々に商いを広げている。

 とはいえ現在、同社が展開するのは松山市内にある5店舗のみ。売場面積は60坪から500坪と多様である。

スーパー日東外観
売場面積325坪ながら年商25億円を誇る束本店。販促日には来店客数は4000人に上る

日東物産企業概要
本社所在地: 愛媛県松山市
代表者: 服部雅企社長
売上高: 91億円(2023年6月期)
店舗数:5店舗

 一方、競争環境に目を向けると、松山エリアでも他の地方都市と同様、厳しさが増す。有力なSMがしのぎを削るほか、近年は食品を積極的に扱うドラッグストア(DgS)、DSといった異業態も台頭。とくに大手資本の存在感が高まっている。

 こうした状況にあり、店舗数から判断すると弱小と言える日東物産は、さぞ厳しい戦いを強いられているのではないかと想像するが、まったく違う。

 同社の店舗はすべて繁盛し、連日、多くのお客でにぎわう。驚くのは、5店舗のうち3店舗は、年商20億円以上であることだ。

 そんな同社が掲げるのは「オンリーワン戦略」である。

 本部主導の画一的な店舗運営ではなく、各店各様の個性的な品揃えと売場づくりを行うのが特徴。各店がそれぞれ独自で仕入れ、値付けし、販促を打つ裁量が与えられている。そのため販売しているものはまちまちで、同じ商品でも、価格が違うこともザラだ。

 こうしたユニークな戦略を取れるのは、同社が「食品市場で『地場DS』の位置にあるからだ」と服部社長は言う。

服部雅企社長
日東物産 服部雅企社長

 どういうことか?

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取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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