高齢者も少なくない生花店への発注をデジタル化した「花キューピット」の工夫とは

2023/12/07 05:59
兵藤 雄之
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高齢者も少なくない生花店に配慮したシステム設計とは

 ただ、アナログの注文が全くなくなった訳ではない。吉川社長は「お通夜、葬儀などは『今日中に届けてほしい』とかの注文が殆どだ。そうした場合はとにかく間に合わせてあげたいので直接、配達先地域の生花店に電話を入れるアナログ方式を取る。アナログでのフォローも欠かせない」と話す。

 花キューピットへの加盟にあたっては、取引のやり取りを行うためのインターネット環境とパソコンは必須だ。受注連絡がアナログ式の場合でも、お届け先の住所やお届け日時などの注文情報の伝達は実際に専用システムを通じて行っている。

 とはいえ、デジタルが苦手な高齢者が少なくない各生花店への対策も考えなくてはならなかった。今回のデジタル化に際しても店に発注依頼のメールの着信を知らせる通知が自動音声で電話に入る仕組みを作った。最初の電話への返信がない場合は90分後にメール受信の再確認の電話が入る。それでも返答がない場合は、最初の発注依頼から120分後に発注依頼は次の店に回される。

 なかなか進まなかったデジタル化を加速させたのが皮肉にもコロナ禍だった。加盟店間での会合もオンラインでのミーティングが常態化し、会員も知らず知らずのうちにデジタルに親しむようになった。そうした状況の変化を捉える形で、今回のメールやアプリを導入した本格的なデジタル化となった。

 現在はアプリ、メールによる発注は全体の3割程度に増えており、吉川社長は「当面はアプリ活用でもアナログのサポートが必要になるが、年度内に5割、3年以内には全ての発注のデジタル化をめざしている」と意気込む。

 サービスが誕生してから70年。時代にマッチしたモデルとなった「花キューピット」は、加盟4100店のデジタル化も急がず、慌てず、時を待つ。

70年前に生まれた「花キューピット」のビジネスモデルをいま流の言葉に置き換えて再定義する吉川登社長(花キューピット株式会社南青山オフィスにて、本田路晴撮影)
70年前に生まれた「花キューピット」のビジネスモデルをいま流の言葉に置き換えて再定義する吉川登社長(花キューピット株式会社南青山オフィスにて、本田路晴撮影)
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