日米流通トップ、ウォルマートとセブン-イレブンが“似て”いるこれだけの理由
理論の「体現者」であり唯一の「継承者」
偏見を捨ててみれば、個店経営こそ、米国チェーンの方法論の正統な担い手である。個店経営こそ、米国のチェーンのあり方を忠実、かつ論理的に理論づけした、日本の「チェーン理論」の本当の体現者と言える。そのことを対比したのが、図表である。
チェーン理論を奉じた日本のチェーンの多くは、図表に示した「ビッグストア」に見られるように、チェーン理論の理想像とは多くの点で異質である。だが、企業は何らかの理論に忠実であるために存在するのではない。
ビッグストア企業群は、自らのリスクを賭けて、理論を提唱することによって、「商業」が「流通業」という企業、いや大企業になり得ることに目覚め、その「業態」発想にヒントを得て、日本の諸事情にあわせて、「ビッグストア」という独自業態を自ら創造した。そして、急速成長の奨めに応じて、「流通業チェーン」という大企業群を実現したのである。
そうして出来上がったものが米国のチェーンをモデルにしたチェーン理論の説くものと異なるものだったのは、むしろ当然だった。とすれば重要なのは、この現実を尊重することであって、理論と異なるのを間違いだと指摘して否定することではないだろう。
同時に、こうして一覧にしてみると、「個店経営はチェーン理論と異なる存在である。その理論を否定して生まれたものである」という業界の常識が、事実上間違いであることに気づくだろう。むしろ、逆に多くの点で個店経営チェーンこそ、正統で、現在必要とされており、かつ活用可能な、チェーン理論の体現者であり、チェーン理論唯一の継承者だと見なしてもいい存在なのである。
チェーン理論に忠実な個店経営チェーン
事実、一覧にしてみると、個店経営を創始したセブン-イレブン・ジャパン(東京都:以下、セブン-イレブン)ほど、ウォルマート(Walmart)と似たチェーンはないことに気づかされる。
チェーン理論では、チェーンはその店数がどんどん多くなっていなければならないとしているが、どのチェーンと比べてもセブン-イレブンは店数を増やしており、すでに2万店を超える店舗網を築いている。また、チェーン理論では、