生協宅配、コロナ特需の終焉!? 成長のカギを握るDX戦略の今
潮目が変わった10月
多くの生協が苦戦
21年度上期は引き続き好調だった生協陣営。しかし下期の見通しについて日本生協連の二村睦子常務理事は「コロナ感染の状況次第だが、内食需要も落ち着いてくる。楽観視できない」と話し、厳しい状況に対応していく姿勢を打ち出した。
そして見通しは的中する。下期のスタートとなる10月度の宅配事業供給高は、対前年同期比で増収だった9月度に対し、同98.3%と減収に転じた。いくつかの地域生協からは苦戦が伝えられ、「まもなくコロナ特需は終わるのでは」といった声も上がるなど潮目が変わってきるのだ。
国内では急速にコロナ感染者数が減少し、日常の暮らしに戻りつつある。第6波の懸念や海外でのパンデミックを踏まえ、引き続き予断は許さないものの、「アフターコロナ」へと状況は変化し始めている。
「外出自粛」「内食ニーズの増加」を背景にコロナの恩恵を受けてきた生協にとっては、業績のプラス要因が失われることを意味する。
配達員不足、再び
採用面接ドタキャンも
そしてここに来て生協宅配では、いくつかの課題も浮かび上がっている。
まず、戸別訪問による新規組合員拡大活動が、コロナ禍での非接触ニーズの高まりを経て、これまで以上に難しくなったことだ。宅配事業の成長の推進力となる新規組合員の獲得が縮小すれば、事業成長の鈍化に直結する。
次に、配達担当者の人手不足問題だ。コロナ禍で一時的に改善しつつあったものの、飲食やサービス業界の営業再開によって再び売り手市場に変わりつつある。配達を担う宅配パートナー会社によると、「採用面接に連絡なしに来ない人や退職代行を使って短期間で辞める人が増えている」という。
さらに、日常のくらしに戻りつつあるなか、この年末年始に旅行や帰省する人が増え、苦戦することも予想される。そのほか、外食などのリベンジ消費によって内食支出の減少や、食品宅配市場をめぐる競争の激化など、生協宅配を取り巻く環境はこれから厳しさを増す情勢だ。
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