カインズ、本社敷地内に建てた「戸建て住宅」がSPAをさらに推進する理由とは
総延べ床面積200㎡超、ハウススタジオが可能にすること
そこで今回カインズは、本庄早稲田駅前の本社敷地内に3棟からなるハウススタジオを建設した。
冒頭で紹介したA棟は、唯一の2階建てのハウススタジオで、水道、ガスを整備しているのが特徴。1Fは77.94㎡と広々しており、自然光があたり、LDKと風呂回りをイメージした生活シーン全般が撮影できる。室内は余計な仕切りがないワンルーム構造になっているため、撮影するのに適しており、例えばキッチンの後ろ側から撮影するのも障害がない。また、コンクリート敷の広い庭スペースを備えているので、ウッドデッキを敷き詰めてガーデンパーティやグランピングの風景を撮影することも、犬の水遊びシーンなどを再現することも可能だ。
B棟は、「ザ・スタジオ」という佇まいで、壁が可動式となっており、背景の壁を自由に組み替え、さまざまな雰囲気に合わせて室内を撮影できる92.74㎡の平屋建ての建物。3棟のなかでもメーンスタジオとして活用を予定している。
最後のC棟はDIY提案を生業とするカインズらしいガレージ風のスタジオ。34.78㎡の広さで、コンクリート張りとなっている。これまでDIYの撮影は、本社屋内のスタジオスペースやレンタルスタジオで行っていたが、大きな音が出せなかったり、大掛かりなDIY作業をすることはできず、制限が大きかった。C棟は防音性が高く、汚れを気にせずに使用できるので、商品撮影だけでなく、How to動画の撮影にも使用できる。
カインズは、現在、デザイン部のもとにプロダクト、グラフィック、パッケージの各デザインに加え、撮影チーム加わり、一貫した体制でカインズの世界観をクリエイティブで表現する体制を整えている。撮影におけるムリ・ムダを解消したことで、より効率的により良いアウトプットの作り込みに集中できるようになる。
カインズ幹部によると、国内のHC企業やホームファッション企業で、ここまで大掛かりなハウススタジオを完備している企業はないという。
「くらしにららら」を企業メッセージに、住空間のトータルコーディネイト提案とライフスタイル提案を行うカインズにとって、SPA化をいっそう推進する上で、このハウススタジオは1つの大事な役割を果たしそうだ。