店長含め外国人スタッフ比率2割 もうやんカレー、スマホ&LINE活用の多国籍人材育成術とは?
静止画を使った教育が有効な場合も
撮影や編集には一定の時間がかかることもあり、静止画(画像)を使う場合もある。例えば、辻氏が各店舗を回る際にテーブルの上のコップやスプーンの置き方に気がつくと、その場で撮影し、画像を全員に送る。情報を共有することで育成のレベルを底上げする。画像の下には、「ここが間違い!」などと簡潔に書く。外国人が読むことを意識し、英語で書く。
「日本語で書く場合もあるが、微妙な言い回しにすると外国人に意味が正しく伝わらないことがあった。それで画像を貼り付け、簡潔な英文を書くようにした。そのころから、英語のほうが全員に正確に伝わりやすいと思った。読むことができない日本人は編集ソフトを使っている」(辻氏)
今は、日本語や英語に流ちょうな外国人ばかりとなり、画像を使った教育指導は以前よりは少なくなりつつある。現在は、辻氏を中心とした店長など経営幹部のメンバー間でも使う機会が多い。例えば、厨房の機械に不具合がある時、その店の店長が撮影し、辻氏に送り、テキスト(文字)のやりとりで相談する。辻氏も画像を新たに撮影するなどして回答している。このやりとりは、内容にもよるが、アルバイトも観ることができるようにすることもある。これも、全員の育成レベルを底上げするための試みだ。
辻氏は、YouTubeの自身のチャンネル「もうやんカレー社長 辻」でソースの作り方などを公開している。「回転釜 野菜ペースト」「もうやんカレーの作り方大釜編」でくわしく紹介されている。いずれも、辻氏が撮影、編集をしたものだ。
飲食店や小売業の場合、スタッフの国籍や年齢、性別は実に多様だ。人手不足が深刻であるだけに、ほかの業界よりもバラエティに富んでいるのかもしれない。言葉の問題にぶつかる機会も多いのだろう。もうやんカレーの取り組みは、その意味での参考になるのだと思う。