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連載・外食トレンド コロナ禍で生まれた新・軽食ジャンル「0.7食」とは

コロナ禍における
食生活変化の実態

 新型コロナウイルス(コロナ)の影響が長引くなか、人々の生活スタイルが一変してしまったことはみなさんもご存じのとおりである。 そうしたなか人々の「食」にも変化はあったのだろうか? ホットペッパーグルメ外食総研は調査によりその実態に迫った。

 最初に調査したのは「コロナ太り」についてだ。 「自粛生活やリモートワークで、通勤などの日常的な活動量と消費カロリーが減り、太った人が増えたのではないか」という仮説を基に調査を行った。

 結果、コロナ禍において「体型の変化があった」人は女性34.6%、男性27.2%だった。 その内訳を見ると、「太った」と回答した女性は24.5%、男性19.1%、「痩せた」と答えた女性は10.1%、男性8.1%で、「コロナ太り」をした人だけでなく、痩せた人も男女ともに一定数いることがわかった。 これは、日常的なカロリー消費が減った人もいる一方、自粛生活で自分の体と向き合う時間ができ、ワークアウトを日常的に取り入れたり、食生活を気遣うようになったりした人もいたのだと推測できる。 コロナ禍の体型変化についてはライフスタイル全般が影響していると考えられる。

 次に、コロナ禍が食生活に与えた影響について調査を実施した。 すると、食事回数または食事量に変化があったという人が約半数いることがわかった。 そこで「1日の食事回数」と「1回当たりの食事量」の増減を調査し、図のようにマトリクス化した。 変化のパターンで最も多かったのは「食事回数・量ともに減った」で15.9%だった。 ここにもライフスタイルの変化が影響していそうだ。


図「1日の食事回数」と「1回当たりの食事量」の増減を調査した結果のマトリクス

3食のうち1回は
「おやつ以上食事未満」に!?

「食事」はライフスタイルそのものと考えられる。 「1日3食」は、コロナ前のライフスタイルに合った食生活だったが、当然普遍的なものではない。 諸説あるが、もともと日本人は朝と昼とを兼ねた食事1回と、明るいうちに済ませる夕食の「1日2食」だったという。 しかし、夜遅くまで活動する習慣がついてからは朝食、昼食、夕食の3食になったと言われる。 このように、ライフスタイルの変化は食生活の変化に大きな影響をもたらしているようだ

リモートワーク生活では、昼食として「おやつ以上食事未満」のような軽食をとる傾向が増えるとも考えられる

 これをコロナ禍での生活に当てはめると、1日の過ごし方も大きく変わった結果、食生活にも大きな変化があったと考えられる。たとえば、自宅でのリモートワークでは通勤など移動を伴わないため、朝食後あまりおなかが減らない。となると、昼食として「おやつ以上食事未満」のような軽食をとる傾向が増えるのではないか?という仮説が立つ。

 そこで、「朝昼晩の食事量が多いと感じ、3食のうち1回はおやつ以上食事未満の軽食にしたいと感じますか?」という質問を投げかけたところ、約16%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答。ホットペッパーグルメでは、このような「おやつ以上食事未満」の軽食ジャンルにトレンドの兆しを見出し、「0・7食」と名付けた。

新たなトレンドの兆し!
「0.7食」の人気アイテム

 では「0.7食」において、どんなアイテムが人気なのだろうか? 

 「今後食べてみたいおやつ以上食事未満の軽食」について調査をしたところ、1位はフルーツ大福、2位はマリトッツォ、3位はフルーツサンドと、スイーツのなかでも比較的お腹にたまるものが上位にランキングした。

たっぷりの生クリームを挟んだスイーツ「マリトッツォ」は、食品スーパーやコンビニチェーンでも商品化され、一気にブームになった

 カラフルな断面のインパクトが強いフルーツ大福、軽い食感の生地にたっぷりの生クリームを挟んだスイーツ「マリトッツォ」のほか、ぷるっぷるの台湾カステラなど、SNSで話題となっているスイーツが上位に顔を連ねており、ひきつづき「SNS映え」の影響がうかがえる。

 これらのメニューは専門店だけではなく、輸入食品を扱う食品スーパーやコンビニエンスストアなどでも販売され、気軽に手に入ることも異例の早さでブームになった要因の1つだろう。

 人々のライフスタイルの変化は、食生活に変化をもたらす。結果、新たに魅力的なアイテムが生まれ、人々の「食生活」がさらに豊かになることを心より願ってやまない。

【執筆者】

有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
㈱リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めるとともに、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成やさらなる外食機会の創出をめざす。自身の年間外食回数は300日以上、ジャンルは立ち飲みから高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがウリで、1日5食くらいは平気で食べることができる。