21年度2ケタ増収3ケタ増益のセレクトショップ 「定価販売」のTOKYOBASEが強い理由
日本製には価格競争に巻き込まれにくい利点も
一方で、日本製の難点は原価が高く、それに伴って、プライスラインも高めに設定せざるを得ない。実際に、PBの原価率は、ほかの大手セレクトショップが25~35%のところ、同社は現在、50%程度だという。
そのため、「セールを絞り込み、約80%の商品をプロパー価格(正規価格)で消化しています。定価でも売れる人気アイテムをいかに揃えるかが、腕の見せ所になるわけです。もっとも、日本製に特化しているので、価格競争に巻き込まれにくい利点は大きいですね」(同)。
集客も、ファッション好きの若者の口コミがメーンで、大掛かりな宣伝はせず、販促費も抑えているという。
同社は現在、セレクト業態の「STUDIOUS(ステュディオス)」、高級セレクト業態の「STUSBIOUS TOKYO(ステュディオス・トーキョー)」に加え、モードラインの「UNITED TOKYO(ユナイテッド・トーキョー)」、カジュアルラインの「PUBLIC TOKYO(パブリック・トーキョー)」という2つのショップブランドを展開している。
ステュディオスは75%、ステュディオス・トーキョーは100%がセレクトの国産品。現在では常時、約200の国内ブランドをラインアップしている(半期ごとに改廃)。その一方、ユナイテッドとパブリックは、15人の社内デザイナーが企画し、国内工場で生産する自社オリジナル商品に特化している。
アイテムのテイストではコンテンポラリーなモード系に強く、価格帯ではステュディオスがアッパーゾーン、ユナイテッドとパブリックがミドルゾーン。リアル店舗の平均単価(2021年2月期実績)は、ステュディオスが2万6000円、ステュディオス・トーキョーが4万1000円、ユナイテッドとパブリックが1万7000円だ。
「売上志向になると、どうしても売れ筋を追いやすくなるのですが、高感度のお客さまが多いので、それでは飽きられてしまう。攻めのデザインで新しい提案も加えていくのが、当社の生命線です。幸い日本製に特化しているので、シーズン直前に企画を決めて、期中生産するといった機動的な対応も可能です。当社も売上が拡大し、信用が高まってきたので、国内メーカーさんからの引き合いも急増しています」(同)。