東京五輪の4都県無観客は「やむなし」=キリンビール社長
[東京 9日 ロイター] – キリンビール(東京都中野区)の布施孝之社長は9日の会見で、東京オリンピックが1都3県では無観客開催となることについて、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ「やむなしかなと思う」と述べた。
飲食店が酒類提供停止などの措置で厳しい環境に置かれる中「オリンピックだけ人が集まるのは、国民の納得を得られない」と指摘。一方、2019年に開かれたラグビーワールドカップ日本大会ではスタジアムの外でも多くの客がビールを楽しんだ経験を振り返り「それがなくなったのは大変残念」と述べた。
東京都に対して4回目の緊急事態宣言の発令が決まり、再び飲食店の酒類提供が停止される。布施社長は、飲食店の苦境が長く続いており「経営が立ちいかなくなり、資金繰りに奔走している」と指摘。400万人と言われる雇用が失われることや、食文化の火が消えることへの懸念を示し「行動規制はコロナ感染拡大抑制に絶対に必要。しかし、それに見合う援助・補助のバランスが上手くかじ取りしてもらいたいし、支払いを迅速化してほしい」と述べた。
西村康稔経済再生相は8日、新型コロナ対策として行う酒類提供禁止要請に応じない飲食店に対して「金融機関に対してしっかり情報を共有しながら順守の働きかけを行っていただく」としたほか、酒類販売事業者に対して取引を停止するよう依頼要請を行うなどと発言した。布施社長はこの発言に対しては「どういう要請か、お願いか、よく見えていない。どう対応するか、社内で議論をしている最中」と述べるにとどめた。