総菜、生鮮食品の強化が食品スーパーの生き残る道=マックスバリュ九州 佐々木 勉 社長
──今期の重点施策の1つ「地産地消」については、商品政策にどのように反映させていますか。
佐々木 当社の営業体制は現在、九州をおもに県やエリア単位で6つのブロックに分けています。それぞれのエリアで味の嗜好は異なります。九州においては、地域の嗜好を踏まえた商品・サービスを提供するローカルSMが地域の支持を得ています。われわれも、地域の嗜好への対応は不可欠な要素だと考えています。
昨年春には、SM事業の責任者が各エリアの商品部長を兼任するといった組織変更を実施することにより、各店舗が地元の商品を機動的に提供できる体制を整えました。加工食品において、各地で支持の高い商品を取り入れています。二日市店でも、調味料や日本酒などで地元商材の取り扱いを強化しました。
さらに最近では、加工食品だけでなく、総菜で地域商品にチャレンジしています。今年5月27日、イオンタウン(千葉県/大門淳社長)が長崎県長与町で開発したNSC「イオンタウン長与」に核店舗として入っている「マックスバリュ長与中央店」では、長崎県で支持されている「トルコライス」を販売しています。オープン後、売れ行きは好調で、手応えを感じています。こうした取り組みを、ほかのエリアあるいは店舗でも広げていければと考えています。
「生鮮塾」をスタート、実践的な人材教育を強化
──地産地消と並び、今期の重点施策に人材教育を掲げる理由は何ですか。
佐々木 品揃えを豊富にし、こだわり商品を積極的に取り入れていますが、それらはただ売場に並べているだけで売れていくわけではありません。たとえばオーガニックの野菜にしても、それがからだによいと売る側が本当に感じてこそ、お客さまに価値が伝わります。競合他社との差別化を図るためには、いかに商品知識を持った従業員を育成するかがポイントになると考えています。
──実際に人材教育のための取り組みはありますか。
佐々木 青果、鮮魚、精肉の3品において部門ごとで教育を行う「生鮮塾」をスタートしています。次期チーフ候補や商品部への配属希望者などスペシャリストを志向する従業員を対象にしたプログラムを用意しました。塾長を務めるのは、各エリアの事業部長や商品部長です。座学ではなく、参加者が実際に役に立つ技術や知識が見つけられるように、OJT形式による業務を通じた教育を行っています。
──成果は上がっていますか。
佐々木 まだこれからです。まずは従業員が自店の商品を食べる習慣を身につけるといった、基本的なところから始めているところです。
これから知識や技術の習得を段階的に進めていきます。将来的には、部門のマネジメントにまで携われるような、数値管理分野も教育プログラムに加えていきたいと考えています。今のところ、生鮮3部門だけですが、今後は総菜でも同様に取り組んでいきたいと思っています。
──目標とする経営数値はありますか。
佐々木 まずは営業利益率3%をめざします。店舗数についていえば、前期末152店でしたので、次は200店舗をめざします。売上高は19年度に2000億円を達成できればと考えています。そのために今後、積極的に出店する予定の小型SMの標準フォーマットを早期に確立することに注力していきます。