ビオセボン・ジャポン 社長 土谷美津子
「ふだん使い」確立し、オーガニック食品市場を拡大させる
18年春に2号店を出店へ、20年に数十店舗体制めざす
──18年から店舗数を拡大する方針を掲げています。
土谷 18年は5~6店舗を新規出店する計画です。まず、ビオセボンの2号店を18年春に開業します。19年以降はさらに出店スピードを加速し、20年に数十店舗体制をめざしたいと考えています。出店地はすべて首都圏を予定しています。
1号店のオープンから約1年間は、お客さまの動向を見て、オペレーションや品揃えを適合させることに集中してきました。そしてビオセボンを多店化するうえでの1つの指標と考える、青果の売上がしっかりと確保できるようになったことから、出店強化に踏み切る判断をしました。
──オーガニック食品を販売する競合企業とは、どのようにして差別化を図っていきますか。
土谷 ビオセボンの特徴は「カジュアル」なことです。当社は、どの競合企業よりも専門性の高いオーガニック食品の品揃えにこだわっています。しかし、お客さまにオーガニック食品の専門性を前面に打ち出す考えはありません。「気軽さ」「おいしさ」をキーワードに、多くのお客さまにオーガニック食品のおいしさを気軽に体験してもらえる店にしたいと考えています。そうすることで、これまでなかなか拡大してこなかったオーガニック食品市場を広げることができるのではないでしょうか。
──イオングループにおけるビオセボン・ジャポンの位置づけを教えてください。
土谷 イオンは長年、環境に配慮した商品を提供できる企業をめざしさまざまな施策に取り組んできました。その大きな柱の1つがオーガニック食品の販売です。そこで、オーガニック食品を専門的に扱うSMを出店することが、日本のオーガニック食品市場の拡大につながると考え、ビオセボンの事業をスタートしました。
たとえば、イオンの店頭にオーガニック野菜のコーナーを設置しただけでは、オーガニック食品のドレッシングやマヨネーズが必要なことになかなか気づきません。専門店としてオーガニック食品の総合的な品揃えを提供しようとすることで初めて、潜在的な需要が見えてきます。この専門店ならではの気づきをイオンに還元することで、本格的にオーガニック食品市場が形成されると期待しています。
(イオン社長の)岡田からは、仏ビオセボン社のようなふだん使いのオーガニックSMを、日本で確立することが重要だと言われています。そのために、まずは店舗数の拡大を第一優先で進めていきます。
──日本のオーガニック食品市場をどのように見通していますか。
土谷 日本におけるオーガニック食品への関心は確実に高まっていると感じています。オーガニック食品に関心の高い在日・訪日外国人が増えていること、あるいは海外を訪れオーガニック食品の存在を知る日本人が増えていることなどが背景にはあるのではないでしょうか。さらに2020年に開催される東京五輪では、選手村や会場内で提供する食材にオーガニック食品が優先的に使われることからもその重要性があらためて注目されるでしょう。
麻布十番店の運営をとおして、これまでまったく興味をお持ちでなかったお客さまが、オーガニック食品を日常的に購入されるようになる姿を目にしてきました。多少時間がかかるかもしれませんが、将来的には日本でも欧米並みのオーガニック食品市場が開けると考えています。