コロナ直撃で創業以来最大の赤字となったリンガーハットは復活できるのか
不採算店舗大量閉店で前期比111店舗の減少
21年2月期の出退店に関して、同社は17店舗を新規出店する一方、不採算の128店舗を閉店し、2月末で国内692店舗、海外12店舗、合計704店舗(うちフランチャイズ207店舗)となり、前期比で111店舗の減少。うち、主力の「リンガーハット」は、新店16、閉店105だった。22年2月期は、新規の出店を1店舗に抑え、テイクアウトなどを強化。それにより当期純利益で8億円の黒字転換を見込む。
2022年の「創業60周年」を控え、創業以来の大幅な赤字となった同社。最大の要因は新型コロナウイルス感染症拡大の影響だ。出店コストを抑えられるショッピングセンターへの出店は店舗数増大を推進したものの、コロナ禍では施設の休業や密になりやすいことなどが仇となり、客足が遠ざかった。首都圏の店舗も、在宅ワークの浸透により、利用者が減少した。
復活へ向け掲げた3つの施策
コロナ禍で激変した人流の変化による減収分のリカバリー策として同社が掲げた主な施策は、外販の強化、テイクアウト・デリバリ―の強化、出店エリアの再考だ。
同社の外販事業の売上高はまだ全体の1割弱だが、巣ごもり需要で伸びしろは大きく、同社でも主力の長崎ちゃんぽん、皿うどん、餃子、チャーハンの冷凍食品をEC経由で販売。着実に売上を伸ばしている。品質にも自信を持っており、顧客からの評判も良好といい、今後は量販店などにも販路を拡大していく。
コロナ禍で注力した持ち帰りもさらなるテコ入れを図る。他のファーストフードと違い、ちゃんぽんは時間が経つと冷めて麺が伸び、味が著しく落ちてしまう課題がある。このマイナス面をのびにくい麺の開発や持ち帰り容器の改良などでカバー。「テイクアウトでもおいしいちゃんぽん」として、需要を掬い上げる。
出店エリアについては、ショッピングセンター、首都圏への出店攻勢が裏目に出たことを教訓に、ロードサイドへの出店強化へシフト。出店エリアをコロナ禍で激変した人流に最適化することで、取り逃がした顧客を追いかける形で巻き返しを図る。