ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営23 モールリテール、ネットリテール、その先にあるSC進化論

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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コロナ禍での緊急事態宣言は、国民生活の制限と経済へ負のインパクトを与えた。しかし、本連載で幾度となく指摘しているが、新型コロナウイルスが来ようと来まいと少子高齢化などファンダメンタルな領域では変化が進んでおり、コロナ禍はそのスピードを早めたに過ぎない。とくに人の「移動と接触」を前提にしたリテール(小売業等)分野への影響は大きい。では、その変化の先にはどんなショッピングセンター(SC)が小売業界を牽引していくのか、過去の歴史を見ながら考えていきたい。

danielvfung/istock
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ダイエーを機にSC開発が進行

 小売業は、古くは物々交換や市(いち)から始まり、その後貨幣の登場によって対価を支払う貨幣経済が発達した。流動的だった取引の場所も、固定化された市場(いちば)や店舗へと移る。

 店舗は集積によって集客力や利便性が高まる。その結果として商店街が形成され、全国にアーケード街がつくられた。

 また、集積は時として競争を生む。その結果、競争力を身に付けた店舗は大型化し、自らが中心となって人為的に店舗を集積させる。それがSCの始まりである。

 1964年、競争力を持ったダイエー(東京都/近澤靖英社長)は大阪府豊中市に日本のSC1号として「ダイエー庄内店」を開業する。これを機に全国でSCの建設が進み、今では全国に3000カ所を越える施設が立地することとなった。

 当初SCは、ダイエーなど量販店が自らの不足する商品政策(MD)を補い、魅力を高めることに注力したつくりであったため、まずは自社店舗の売上向上に資することが前提にあった。

近年はSCの数が減少傾向に

 その後、量販店に陰りが見え始める一方、都市への一極集中、モータリゼーションの発達、郊外住宅都市の開発などの社会環境の変化に合わせ、SCはその形態をファッションビルや駅ビル、郊外モール、アウトレットモールなどと多様化させ、成長していった。

 ところが、2005年の「エキュート大宮」「エチカ表参道」などの「エキナカ」施設の開業を境にSCは成長が止まる。これ以降、現在まで類似したSCが量産され約15年が経過することとなった。

 店舗を集積したSCは、1970年代から2000年代にかけて人口増加と経済成長を背景に隆盛を誇ってきた。とくに大店法廃止と大店立地法の制定、定期借家契約の登場、資産流動化法の改正が行われた2000年から大きく成長するが、18年にピークアウト、19年からSCの数も減少する。そして20年、追い打ちをかけるかの如く新型コロナウイルスが襲来した。

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