ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営22 コロナで人口減に拍車!岐路に立つSCビジネスのこれから
コロナ禍によって売上が低迷している。営業時間の時短要請や在宅ワークの広がりなどが原因であるがそれだけだろうか。ショッピングセンター(SC)はコロナ襲来前の2019年から減少に転じている。ではポストコロナ時代に、SC経営には何が求められるのかを今回は探っていきたい。

SC総数の減少に対する関東圏の状況

全国のSC数は、2018年をピークに2019年、2020年と減少を辿っている(図表1)。
これまで商業施設は、不動産用途の限定性から都市開発と共に増加傾向にあった。
不動産用途の限定性とは、不動産の利用形態がオフィス、住宅、ホテル、商業施設、病院、学校、公益施設などバラエティに乏しく、その中でもオフィス、住宅、ホテル、商業施設、この4つが中心である。

近年では首都圏を中心として都市再生特区や国家戦略特区による容積率の割り増しや高さ制限の緩和により大型物件の開発が増加、賃貸床も増加傾向にあり、全国のSC総数が減少していることに対し、関東圏では増加傾向にあった(図表2)。
容積率1000%を越える巨大な物件を単一の不動産用途で計画することは難しく、またリスクヘッジからも複合用途による開発は必然と言えば必然である。
オフィス用途のビル開発でも就業者へのサービス機能として飲食施設は不可欠であり、また、ビルの下層階に商業施設を造ることは物件の付加価値を高めることにもつながるため都市圏においては商業施設を併設することが多い。これが増加傾向の理由である。
しかし、2019年までは「オリパラの開催、インバウンド3千万人、観光立国へ」と喧伝され、その勢いに乗って不動産開発はホテル用途に傾倒し、相対的に商業施設の開発は全国的に減少した。
また、日本人口の減少や高齢化によって商業施設の開発モチベーションは低下し、人口減少が加速する地方圏から徐々にSCの閉鎖や減築は進み、その数は減少していく。




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