クスリのアオキ、ローカルスーパー連続買収の理由は店舗網拡大と買収SMの自社内コンセ活用か?

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
Pocket

北陸地方を基盤に、関西から東北にかけての広い範囲でドラッグストア(Dgs)を展開するクスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキ)。店舗数は700店舗以上(2021年4月14日時点・調剤専門薬局を含む)、売上高は3000億円を超える、DgSの一大勢力だ。そんな同社は近年、一部の大型店で生鮮食品の販売を行い、さらに昨年からローカル食品スーパー(SM)を相次いで買収するなど、食品マーケットを侵攻する派手な動きを見せている。クスリのアオキは何をめざしているのか。その成長戦略に死角はないのか──。

フード&ドラッグの成長株売上高は3000億円超

 クスリのアオキは、調剤・医薬品、化粧品、日用雑貨などDgSの品揃えに購入頻度の高い食品を組み合わせる、いわゆる「フード&ドラッグ」企業の一翼だ。ドミナント出店が容易で、小商圏でも成立する店舗モデルを開発、年間80~90店舗前後の高速出店を行うことで成長を続けている。

 2020年5月期の連結売上高は3000億円の大台を超え、対前期比19.6%増の3001億円。営業利益は同15.6%増の163億円と2ケタ増収・営業増益を遂げた。新規出店効果や新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要に加え、食品の扱いが多いことからSM同様に内食需要をとらえた部分も大きいとみられる。

SMを戦々恐々とさせる生鮮強化型DgSを展開

 しかし、そうした業績の前提として着目したいのは、M&A(合併・買収)も絡めながら、果敢に食品マーケットを侵攻しようとする姿勢だ。

 同社は近年、生鮮食品を扱う「生鮮強化型DgS」の出店を進めている。クスリのアオキはもともと300坪を標準フォーマットとするが、450坪タイプの大型店を展開し、そこで生鮮・総菜をフルラインで販売しているのだ。その数は、21年4月14日時点で44店舗となっている(同社HP上の店舗情報より)。

 医薬品、化粧品、日用雑貨、調剤といったDgSならではの専門性の高い非食品の品揃えと、生鮮3品、総菜もすべて扱うというSMと遜色のない食品のラインアップを両立する──。その競争力の高さは言うまでもなく、競合するSMにとっては大きな脅威となっている。

 「近くに出てこられたら、それははっきり言って邪魔ですよ」。一部の店舗がクスリのアオキと至近で競合する、とあるSM企業の経営幹部はこう打ち明ける。「だから、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2 3

記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態