ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営22 コロナで人口減に拍車!岐路に立つSCビジネスのこれから

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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ポストコロナ時代のSCの収益

 SCビジネスの収入は、不動産×テナント売上高である限り、SCの収入を増やすためには、①不動産の床を増やすか、②テナントの売上高を増やすか、③この両方を増やすか、この3つしか無い。

 ところが日本の人口は減り、コロナ禍によって外客も消滅。外客はコロナ禍が収束すれば戻るとは思うが、日本人口に比べればその数には限界がある(フランスぐらいの観光立国になれば別だが)。

 ということは、特区を活用して商業用不動産を増やしても現下のSCビジネスでは収入の増加は望めないなか、収益を伸ばすためには、収入のチャネルを増やすか、費用を低減させる、この2つにフォーカスされることになる。

 収入チャネルの増加手法は、これまで本連載で解説してきたが、残された手段は費用の低減である。

業務の見直しとやめる勇気

 収益を上げるためには収入を増やすか、費用を下げるか、この2つだが、SC運営に掛かるコストとは、「運営管理に掛かるスタッフの人件費、売上増加のための販売促進費、店舗スタッフのロープレなどの研修費、売上金賃料精算に掛かる日報チェックなどの費用、売上金管理と現金輸送などキャッシュに掛かる管理コストなど」だが、この中で非効率、もしくは不要なものは無いのか、今一度点検する必要がある。

 元々、SCビジネスは、貸し手(オーナーと借り手テナントが、リスクを負担し合うことで成立したビジネスであったことに立ち返り、その負担領域を越えて行っている業務は無いのか、デジタル化出来る分野は無いのか、FAXや紙の申請用紙を多用していないか、チェックが必要だろう。

  一般的にコスト削減とは、業務フローの見直し、業務工程の省人化が行われるが、ポストコロナは、そのような悠長なことを言っていられない。

 なぜなら今起こっている変化は、コロナの問題ではなく、一国の成熟社会への変化によるものであり、その前提に立てば、業務の効率化程度では対処できず、無駄な業務や過去からの慣例で行っている業務は、そっくり止めることが求められる。

 場合によっては仕事を失う人も出るだろう。しかし、そこは工夫するしかない。これまでもレコード針や固定電話や電車の切符が無くなるように時代は変化する。これまで「変化対応業」と言ってきたSCはその真価を試されている。

 

西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。

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