ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営22 コロナで人口減に拍車!岐路に立つSCビジネスのこれから
SCにも経済にも大影響!コロナがもたらした最悪の影響とは
しかし、終身雇用制度に守られた日本では、在宅ワークが進んだとしても雇用と年収は保障され、消費支出の低下(図表3)は、家計への資金滞留を引き起こす結果となり、その額は30兆円を越えるという試算もあり、コロナ明け、リベンジ消費が起こる可能性は高い。したがって今、SC運営では、空室を出さないことが優先される。なぜならワクチンが普及し、リベンジ消費に沸いたとき、空室ではその恩恵は絶対に享受することはできない。賃料減額と退店の引き留め、今はこの局面にあると言えるだろう。
このようにリベンジ消費が起こる可能性はある。しかし、それは一過性。人口減少、高齢化、ECの伸長、年金制度と老後不安、物欲(所有欲)の低下などファンダメンタルな部分は、新型コロナウイルスがあろうがなかろうが変わらないのである。
むしろ、コロナ禍によって昨年(2020年)、婚姻率と妊娠届が大きく低下し、今年生まれてくる子供の数は80万人を割ると予想されている(図表4)。2019年、出生数が86万5234人となり90万人を割ったことからわずか2年である。
実は新型コロナウイルスのもたらした災いは、一時の消費低迷などでは無く、人口の減少と生産年齢人口の減少につながる出生数の低下にある。2041年、20歳を迎える若者は80万人しかいないのである。