ECと非アパレルで売上2000億円、苦境のオンワードが「脱オンワード」でめざすV字回復

油浅 健一
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これから10年かけた変革でオンワードが生まれ変わったとき、世の中はどう変わっているのだろうか
これから10年かけた変革でオンワードが生まれ変わったとき、世の中はどう変わっているのだろうか

 過去の成功モデルとの決別の先に復活がある――。打ち出された施策の一つひとつにそんな決意がにじむ大胆な改革シナリオ。アパレル部門の事実上の縮小、EC化率50%、脱定番ブランド、商品開発のオープン化、縦型組織からの脱却…。忍び寄る危機になりふり構わない抜本改革の先にある10年後の同社の姿は、良くも悪くもいわゆるオンワードらしさは微塵もない。

 ただし、これが10年前なら間違いなく「革新的」といえた。だが、打ち出されたどの施策もコロナ禍をもろともしなかった企業はすでにやり遂げているもので、遅きに失した感は否めない。先の読めない時代を生き抜くために必要な要素として、顧客至上主義やそれと連動したDX(デジタル変革)が重要であることはコロナ下で図らずも鮮明になった。

 1年後さえ見通せない閉塞感漂う社会情勢にあって、変革リミットに設定した10年という期間は長い。その頃、いま以上に市場や消費者の価値観が変質しているとしてもなんら不思議はない。

 市場環境の変化に起因する深刻なアパレル不況を業界最大の試練とするなら、環境に適応すべく進化を遂げ、それを乗り越えることは同社の宿命といえる。業界の雄が踏み出した生き残りをかけた決死の一歩がどこに着地するのか、しばらく目が離せない。

 

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