ベイクルーズ野田晋作副社長が語る!EC売上500億円突破、勝ち残るアパレル企業の深化形とは
EC化率の向上はあくまで副産物
アパレル業界においてEC化率の高さが突出するベイクルーズだが、あくまでもめざすのは店舗とのバランスの最適化。EC化率の向上はあくまで副産物としかとらえていない。しかし、逆説的だが、この考え方こそ同社のEC売上が伸び続ける最大の要因とも言えるのだ。
野田氏 EC化率とかECの売上をどうするという考え方は会社都合でしかない。そうした狭い視野でビジネスをみるとセクショナリズムが生まれてしまいます。私は、社員全員が協業することで生まれる「何か」があれば、こうしたセクショナリズムの壁や弊害はなくなると思っています。そのヒントが再入荷リクエストにあります。
お客さまのアンケートに目を通すと、「買いたいものが買えない」「再入荷連絡があってもすぐ売り切れてしまう」という意見を数多くいただきます。
お客さまは、欲しいタイミングで商品が確実に手に入ることを望んでいるのです。われわれはその実現をめざさなければならないし、その解決プロセスの過程で事業全体を見直し、縦割りのセクショナリズムをなくしていけると思っています。そのために、ITをフル活用しながらいろいろな施策に取り組んでいる最中です。
市場が縮む、商品が売れない、在庫があふれる、値引き販売する、ネットで安売りする…。さまざま要因が絡み合い、アパレル企業の多くが悪循環に陥っている。だが、そうした企業の視線は、顧客でなく自身の会社に向けられがちだ。野田氏が繰り返し口にするように、いかに顧客に最善のサービスを提供するか。そこをスルーして、持続的な経営といっても絵に描いた餅に過ぎない。
野田氏 当社の場合、トップから「値引きはするな、価値あるものをつくれ」という大号令がかかっています。とりわけコロナ禍では、かつてない危機感を背景に、ECを大胆に大きく伸ばし、価値あるものを価値ある値段でご提供することができたという自負があります。こうした一気呵成の大変革は、平常時では社内から大きな反発が出がちです。この機会を逃したら何も変えられないという危機感が社内を連帯させたのです。
EC部門のいまがあるのは、現場のスタッフが積み上げてきたもので、私はそこにチョイ乗りしているだけ。ここまで築き上げるのにみなさんが血のにじむ努力をしてきたのです。それは魔法などではなくて、努力の賜物でしかありません。