顧客データ分析に磨きかけ、安さ以外の価値を提供する=オギノ 荻野 寛二社長
商品の価値を顧客に伝える
──データ分析手法の幅を広げることで売場や品揃えはどう変わりますか。
荻野 先進的なメーカーさんは、新しいカテゴリーの創造にチャレンジしています。われわれもそれに取り組んでいきたいと思っています。従来の消費概念とは異なる商品が今、登場し始めており、従来の商品構成を組み立て直すカテゴリー・マネジメントと新しいカテゴリーの創造が課題になってきています。
たとえば、健康系の商品は、新しいカテゴリーの創造にかかわってきます。今は、飲料の中に健康的な飲料があるというレベルですが、これからは違うかたちになっていく可能性があります。飲料自体が不健康というわけではありませんが、お客さまが従来型の飲料が最初から頭になく、健康系の飲料しか目に入らないということになると、比較購買の対象外になってきます。
──新しいカテゴリー・マネジメントが求められてきているということですか。
荻野 棚割をつくり新しい商品を導入しても、お客さまがその商品に気づかなければ意味がありません。今、新しい機能を持った商品、あるいは同じ品種だけれども異なる機能を持った商品などが登場してきています。これまで1つか2つの用途でしか料理に使われていなかったけれども、本当は10の用途があるという商品もあります。こうした情報をお客さまに伝える必要があります。地道ですけれども、そこをしつこくやっていきたいと思っています。
16年度は料理教室を開く計画です。料理や商品の紹介だけではなく、幅広い知識を持った専任者を店舗に配置します。そうすれば、新しい商品や、従来型の商品だけれども本来はもっと幅広い用途のある商品などをお客さまに伝えることができます。カテゴリー・マネジメントに命が吹き込まれていくでしょう。
たとえば、新しい商品の説明が記されてあったとしても、それをじっくり読み込んで購入されるお客さまはあまりいません。いい商品であっても知らない間に棚から消えてしまうということがあります。
一つひとつの商品にどういう価値があるのかをきちんとお客さまに伝えることが小売業の役目です。そこは、メーカー・卸さんとしっかりタッグを組んで、いい商品をわかってもらえるようにしていきたいと思っています。
↑カロリーを抑えた商品の品揃えを強化した。POPをつけて訴求する
←昨年オープンした店舗では、カットサラダやカット野菜などの簡便商品の品揃えを拡大した
──新しい商品というのは具体的にどんな商品ですか。
荻野 山梨県北杜市では、植物工場で農産物が生産され、農産物の工場化がどんどん進んでいます。生産される農産物には、従来と少し違った農産物があります。同じレタスやトマトですが、見た目が違う。食べるとおいしく、無農薬で栽培されているよさがあります。すでに一部は市場に出ていあますが、これからさらに本格化するでしょう。
水産物もそうです。養殖の技術革新によって、これまで食べられてこなかった魚種も市場出てくるでしょう。加工食品や日配品でもそうした傾向が強まります。そうすると、見たことがない、聞いたことがないといった商品をお客さまに伝える努力が必要になるのです。