規模の利益を生み出すため、機能と人材を強化する=原信ナルスHD 原 和彦 社長
600チームのQCサークル 年間2000件以上の改善活動
──経営の根幹に据えるというTQMはいわゆるQC活動のことですか。
原 われわれはTQMを組織的、継続的なお客さまサービス向上のための経営活動と位置づけています。現場も含めて、わたしたち小売業には、日々いろいろな問題が発生します。それを組織として改善をしていかなくてはいけません。その改善活動を、会社をあげて徹底的に行っています。製造業では一般的かもしれませんが、小売業では少ないと思います。
1998年から始めた独自のサービスに、レジの袋詰めサービスがあります。これがわかりやすい例でしょう。
当時、日本ではお客さまが袋に詰めるのが一般的でしたが、米国をはじめ世界各国では店舗側が詰めるのが常識でした。そこで、米国のSMで使われていたレジを真似てつくったレジを1台導入して実験をしたところ、これが非常に好評でした。それで、実験店舗のすべてのレジを切り替えました。ところが、変更したとたんに、お客さまからクレームが殺到したのです。
調査をしたところ、「レジ台に載せるのが面倒」とか、「ほかの買物客に見られるのが嫌だ」といった声が多く寄せられました。そんなお客さまの不満を解消するため、レジを改良した結果、今のレジの原型が出来上がりました。そのあとも、改良を続けていき、特許を取ったものもあります。そのくらいノウハウに仕上がったのです。
袋詰めサービスは、他社には真似のできない、差別化できるサービスになりました。なぜノウハウにまで仕上がったかというと、PDCA(仮説・実行・検証・改善)をもとにした改善活動を、地道にやり続けたからなのです。
当社には今、QCサークルが各店舗に8チーム、全店で600チームくらいあります。取り組む改善活動は多岐にわたりますが、1チームで年間4件くらいですから、全体では年間2000件以上になります。
──そういう活動を今後、両社でさらに強めていくわけですね。
原 フレッセイさんも一部、数年前から取り組まれています。当社では、TQMの発表大会を春と秋の2回、新潟市・長岡市・上越市の3会場で開催しています。この春の発表大会には、フレッセイさんからも110人ほどの従業員に参加してもらいました。