規模の利益を生み出すため、機能と人材を強化する=原信ナルスHD 原 和彦 社長

聞き手・構成:下田健司
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在庫型の物流センター稼動 店舗の作業割当の再構築へ

──ところで今年、開設を予定している物流センターは、どんな機能を担うのですか。

 今回の経営統合前から計画していたものですが、現在長岡市内に建設中の在庫型の物流センターを、今秋から稼動させる予定です。

 今は、通過型の物流センターが2拠点あります。このセンターから生鮮食品やドライグロサリーを一緒に、全店舗に2時間以内で届けられる体制をとっています。

 ただ今後、店舗展開エリアが広域になっていくことを考えると、それに応じて物流センターを立ち上げていくのは、合理的ではありません。生鮮食品はそれでもいいのですが、ドライグロサリーを2時間以内の配送にこだわる必要はないからです。

 また、ドライグロサリーは、設備機器などにかかる投資負担が重くなります。店舗展開エリアが広がっても、生鮮食品だけに機能を絞れば、通過型の物流センターの投資負担は軽くなります。ドライグロサリーについては、一括で在庫を持つ形にしますから、卸さんにとっては、2カ所に納品していたのが1ヵ所になるというメリットが生まれます。また現在、倉庫を借りて保管しているPBの在庫も持てるようにします。

──既存の2カ所の通過型の物流センターはどうするのですか。

 機能を変えます。生鮮食品と日配品にほぼ特化しますので、今の通過型の物流センターには余力が生まれます。そこを活用して、数年以内にプロセスセンター(PC)を設けようと考えています。現在もPCはあるのですが、手狭で老朽化してきているため、全面的に見直すつもりです。

 PCによって店舗の作業も変わりますが、それに加えて、ドライグロサリーでは自動発注の導入を予定していますので、これによっても店舗の作業が変わることになります。

 そのため、今の作業体系のままでは、作業がなくなっただけということになりかねません。より付加価値のある作業ができるようにするために、今年は作業に人を割り当てるLSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)を構築し直す活動を進めています。物流センター新設というハードの変更の効果を生み出すためにも、LSPの再構築が最大の肝になると思います。

 経営統合で物流をどうするかは、これからですが、共有化できる部分があるかもしれないので、統合準備委員会の中で、今後検討していくことになるでしょう。

──今後のM&A(合併・買収)は、関東のSMが対象になるのでしょうか。

 とくに、関東に絞っているわけではありません。いいお話があれば、前向きに検討させていただきますが、メリットを出しやすいのは近接地域で物流などがつなぎやすいところでしょう。持ち込まれる案件もないわけではありませんが、こればかりはそう簡単に決められることではありません。

──同じ純粋持ち株会社のアークス(北海道/横山清社長)もM&Aを通じて規模を拡大しています。

 もともと、われわれは原信とナルスが経営統合によって純粋持ち株会社を設立して生まれた会社です。アークスさんをモデルとしており、運営方式なども教えていただきました。

 世の中に貢献するために、規模と機能と人材が必要であるわけですが、それを実現するためには、飛び地ではやりにくいだろうと感じています。多少は離れていてもいいかもしれませんが、物流をつなげやすい企業同士がいっしょになったほうがメリットを出しやすいのではないでしょうか。

 それから、TQMを経営の根幹に据えていることが、われわれの最大の特徴と言ってもいいでしょう。そうした経営の考え方を共有できることが重要になります。

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