オイシックス 奥谷孝司氏が語る、顧客とつながり続けるためのデジタルシフトとは
デジタルを介して顧客とつながり続ける
「コロナ禍で今後より一層注目されるようになる」と奥谷氏が指摘するのが、「場の価値」だ。いまやアマゾンは言うに及ばず、オンライン起点の多くのベンチャー企業では、デジタルでの顧客とのつながりを強固にすることを重視している。デジタル経由で築いたつながりを活かせば、リアル店舗もうまく運営することができる。一方でこれまでのリアル店舗は、顧客とのつながりが脆弱だった。商品を買うか買わないか、という視点(たとえばPOSデータ)でしか、顧客とのつながりはほとんどなかった。
ここで必要となるのが「顧客との時間の共有」、つまりオンラインIDでつながり続ける関係性の構築だ。奥谷氏が前職で立ち上げたスマホアプリ「MUJIパスポート」は、顧客とのつながりを意識したものだった。直接的なEC売上の拡大ではなく、商品を購入してから顧客がどのように感じているのかを、デジタルを使って把握することがその狙いだった。当時から「購買データ」よりも、「行動データ」が重要だと考えていたのだ。
これからやってくるwithコロナの時代は、コンタクトレス、キャッシュレスがますます進むと奥谷氏。商品を直接手に取る機会はさらに減少し、顧客は商品選択と購入にかける時間をできるだけ短くすることを考えるようになる。つまり、一度購入した商品やサービスの体験に価値がなければ、2回目はない。継続して利用されるためには、購入後の使われ方を追う必要がある。そのためにはオンラインIDを取得してもらうことが不可欠だ。