連載 スーパーマーケットの2020 #5 アークス

森田 俊一
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「コロナ特需に酔うな」

 巣ごもり消費拡大による特需の恩恵で、アークスの足元業績は好調だ。2021年2月期第1四半期(3~5月)決算は、売上高が対前年同期比12%増の1404億円、営業利益が同約2.3倍の58億円といずれも四半期ベースの過去最高とを更新した。

 通期では、売上高が対前期比2.1%増の5300億円、営業利益が同8.9%増の132億円、経常利益が同7.7%増の148億円、当期利益が同23.7%増の85億円を計画。コロナ禍の行方が不透明であることから、通期の業績予想は手堅く見積もっている。横山社長も「コロナ特需に酔うな」と強調、社内の気を引き締めるコメントを残しているが、ある業界関係者は「食品スーパーのニーズは強く、上振れする可能性もある」と指摘する。

アークスの「南下政策」

 売上規模において食品スーパー業界上位のポジションにあるアークス。横山社長は数年前に「基幹業務システムが完成すれば、(アークスグループと)一緒にやりたいと手を挙げてくれるところが複数ある」と発言、さらなる再編への意欲を見せる。

 業務システムは投資額がかさむことから、単独のチェーンが導入するには負担が大きい。そのため、アークスの業務システムを利用することで、業務の効率化をめざしたいという意向を示すチェーンが複数あるというのだ。そして昨年10月、ついにアークスの基幹業務システムが本格稼働をスタート、再編の切り札として活用できる局面を迎えている。

 本州進出も緒に就いたばかりだ。青森県、岩手県の食品スーパーチェーンを傘下に収め、北東北の地盤を固めており、19年には宮城県で事業展開する伊藤チェーンを株式交換により子会社化。宮城県まで勢力範囲を広げている。

 「ダイヤモンド・チェーンストア」誌でのインタビューで、横山社長は「関東以北を事業エリアとし、売上高1兆円をめざして仲間をこれからも増やしていく」と話すなど、今後も規模を追求しながら、成長をめざす方針を示している。本州へ本格進出となれば、競争激化は避けられない。アークスの「南下政策」の動向が注視される。

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