ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営6 ニューノーマルとは損益構造を見直すことである
ニューノーマルとは損益構造の見直しのことである
昨年の日本は3,000万人を超えるインバウンド客、都市再生特区・国家戦略特区による大規模プロジェクト、アベノミクスによる株式市場の活況、オリンピック、万博、リニア、カジノなど大規模プロジェクトによって浮かれていた。しかし、今はどうだろう。この先、不安しか抱えていないのではないか。
先行き不透明感は、残念ながらまだまだ終息することはできず、これまでのような収益を確保することは簡単には望めない。
したがって今後は、収入が低下しても利益が残る費用構造とすることが求められる。これが本当のニューノーマル(新常態)なのだ。
ソーシャルディスタンスがニューノーマルなのでは無い。ニューノーマルとは、これからの経済規模、市場規模、企業収益の減少を所与のものとしてビジネスを組み立てることにある。雇用を守るためには人件費にも手を付けないといけないだろう。
今後、日本では、人口が減少し、ECが伸長し、温暖化と自然災害によってSCの売上は間違いなく減少する。それに加えての今回のコロナ禍だ。
当然、これまでの売上高、賃料収入は低下し、その低下を前提にしたコスト構造が必要となるのは自明である。
このコスト構造こそがSC経営のニューノーマルであって店頭での手指の消毒で済む話では無い。
また、減少する収入をカバーする収入源、言わば第2第3の賃料をSC経営は模索していくことになる。
これがSC経営におけるニューノーマルなのだ。
SC運営において、今は対処療法的なニューノーマルに取り組んでいる。しかし、
西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役
東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員、渋谷109鹿児島など新規開発を担当。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒、1961年生まれ。
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