ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営6 ニューノーマルとは損益構造を見直すことである

2020/09/04 05:55
    西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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    枯渇する内部留保

    Alexander Shelegov / istock
    Alexander Shelegov / istock

     45月の休業はそれまでの貯金や内部留保によって何とか持ちこたえた。しかし、今後も収益の低下が続けば当然資金ショートも起こる。

     だから、休業した上期より下期以降の方がよほど企業にとって厳しい状況となるのだ。

     この混乱の中、多くのプロジェクトは止まり、予定していた新築工事もリニューアルもペンディングとなり、凍結や後ろ倒しを決めた企業も多い。

     この止まっていたツケがこの下半期から来年にかけて表面化する。これは建設工事だけでなく、コンサルや市場調査などあらゆる分野に渡る。

     鉄道や不動産などの基幹産業までが乗客の減少やオフィスの解約や減坪、賃料減額要請によって新たな投資実行が難しくなるのは当然である。

     この上半期のSCの経営状態は、休業期間に応じてテナントの賃料を減額または免除したことから大きく収入が落ち、減収減益、場合によっては赤字となった企業は多い。

     SCは不動産業であり、店舗が休業となっても建物の保全のため防犯防災のコストやメンテナンスや保有税などの固定費は減らないし、なくならない。

     したがって固定費を上回る収入の減少があればその分赤字になるのだ。

     

     前号で「小売・レクリエーション」施設における人の動きが停滞したままであることを解説した。

     郊外や地方では売上が戻りつつあるが、東京や大阪のような都市部では出張族の減少、インバウンド客の消滅、在宅ワークによる通勤客の減少、帰宅を急ぐ会社員などから人の数は大きくダウンし、今後、小売の落ち込みが戻るまでには相当の期間を要すると思われる。

     確かに海外での感染拡大を見ると当分の間、グローバルな動きは戻りそうにも無い。実はこれがニューノーマル(新常態)の基礎になるのだ。

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