ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営5 「集まれない社会」到来で果たすSCの新たな役割と機能

2020/08/20 05:56
    西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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    ウィズコロナ時代のショッピングセンター(SC)経営第5回は、コロナ禍で大きく変容せざるを得ないさまざまなビジネスを考察し、SCの新たな役割と機能を導き出す。人が集まれない社会が到来したいま、SCはどう変わるのか?

    olaser / istock
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    戻った消費、戻らない浪費

     前回、国民の支出は、①貯蓄、②投資、③消費、そして④浪費、の4つであることを指摘した。コロナ禍によって休業を余儀なくされたショッピングセンター(SC)や百貨店で扱う商品やサービスの多くは生活に直接的には不要な「浪費」であり、これをコロナ禍では「不要不急」と呼んだのだ。

     この筆者の「消費と浪費仮説」は下図の「COVID-19の影響による人の移動の変化( googleコミュニティモビリティレポート)」(注COVID19=新型コロナウイルス感染症)によって明確に分析されている。基礎消費である食料品や薬局の需要は安定し、休業により大きく減少した小売り・娯楽は今も不調のままだ。

    出所:google COVID-19コミュニティモビリティレポートのうち、筆者が日本(東京都)について抜粋加工した。基準値は、2020 年 1 月 3 日〜2 月 6 日の 5 週間の曜日別中央値。原データは下記↓ https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-08-11_JP_Mobility_Report_ja.pdf
    出所:google COVID-19コミュニティモビリティレポートのうち、筆者が日本(東京都)について抜粋加工した。基準値は、2020 年 1 月 3 日〜2 月 6 日の 5 週間の曜日別中央値。原データは下記↓
    https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-08-11_JP_Mobility_Report_ja.pdf

     これが不要不急の浪費であり、この浪費が戻らない限り、SCや百貨店の売上は残念ながら元には戻らない。

     なぜなら流行りの服、かわいいアクセサリー、ネイルなど生活に必要の無い商品やサービスを提供する店舗の売上が商業施設の大半を占めているからである。

     在宅ワークで通勤着や化粧品が不要になり、旅行に行かなければ旅行バッグも水着も売れるはずはない。

     ただ、人間には移動欲求と集合欲求がある。旅行にも行きたいし、イベントにも参加したい。これが実現しない限り、本当のアフターコロナは訪れず、インバウンド客に頼っていた百貨店に至っては年単位での回復期間が必要とされるだろう。

     

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