ツルハホールディングスの店舗網が40都道府県に拡大 新社長の鶴羽順氏は何を語ったか?

小木田 泰弘 (ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長)
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未出店地域でのドミナントエリア化推進へ

――24年5月期の中期目標として、店舗数3000店舗、売上高1兆円を掲げている。

鶴羽社長 目標達成のための基本戦略として、専門性・利便性の追求、ドミナントエリア戦略に基づく店舗展開、PB商品の展開拡大・商品力向上、グループの組織力・収益力強化を進めていきたいと考えている。

 専門性の追求については、当社の強みである、医薬品、化粧品のカウンセリング販売、調剤の強化を図っていく。グループ内の教育体制の充実により、専門知識・接客技術の向上、管理栄養士の活躍推進によりヘルスケア領域の役割の機能の幅の拡充を実現していく。

 利便性では、キャッシュレス対応、可能な限りのワンストップショッピング対応、食品の導入などにより、生活スタイルやニーズの多様化に対応する。デジタル戦略は、まだまだこれからだが、とくに購買データの蓄積は、店舗数が強みになる。今後はそのメリットを生かしてのサービス展開を考えていきたい。

 次にドミナントエリア戦略に基づく店舗展開だが、これまで同様、一定地域への集中出店を心がけていく。

 地域集中出店は、販促、人員配置、在庫調整などの面で効率化を進められるというメリットがある。また、当該エリアにおける認知度も向上することから、地域シェアの早期獲得も可能だ。未出店地域(群馬県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、奈良県)においては、自力出店に加え、M&A(合併・買収)による拡大を図り、ドミナントエリアの獲得、既存シェアの拡大を進めていく考えだ。

「くらしリズム」の展開によるPB商品戦略では、グループ店舗に「わざわざ買いにきてくれる」ような、価格戦略品、高付加価値品の開発をめざす。

 また、ナショナルブランド限定の専売品についても、他社と差別化できる商品の育成を行っていく。とくに、医薬品等の専売品、化粧品特定ブランドの販売強化を図っていきたい。

 当社グループでは、事業会社がそれぞれの屋号により、地域密着経営を行っている。グループの組織力と収益力の強化に関しては、地元で培ったブランドパワーを維持しつつ、グループとしての規模を活かした商品調達、システム構築など、コスト面での統合効果を創出していきたい。事業会社ごとの成功ノウハウを共有し、横展開できるのも当社グループの強みだ。

 また、メーカーさまとの間で、購買データの共有を進め、売場起点によるカテゴリー単位の強化を図っていく。メーカーさま、卸売業さまとの協働によるカテゴリー強化施策JBP(ジョイントビジネスプラン)戦略の展開も、スケールメリットのひとつと考えている。

 全国展開の店舗ネットワークの強みを生かした商品戦略、データ活用によるデジタル戦略も、データマネジメントプラットフォーム構築とその戦略的活用と合わせて、今後の推進項目として取り組んでいく。

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記事執筆者

小木田 泰弘 / ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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