コロナ禍でスーパーで購買が伸びた商品ベスト10と不足がちな栄養分とは!?
SMと連携して真価発揮する「SIRU+」
「SIRU+」は一般の消費者向けの無料スマホアプリだが、ポイントカードを発行しているSMなどとのデータ連携により、その機能を発揮するものだ。
アプリ上で顧客情報を登録し、ポイントカードと連携させておくと、購入した食品を自動で登録、摂取できる栄養素を見える化する。そして、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をもとに、不足している栄養素があれば、それを補う最適な食材やレシピの提案をする。さらに、継続的に利用していくと、アプリと連動するAI(人工知能)が、ユーザー自身の食の好みや、調理スキルを学習し、栄養バランスが良くなる健康的な食材の購入やレシピの提案も可能になる。
2020年4月現在、「SIRU+」と連携可能なSMはダイエーの30店舗だが、「年内には他のSMを含め300店舗で利用できるようになる」(同社広報・岸名友美氏)という。
SIRU+の利用メリットはユーザーだけにあるのではない。ポイントカードとデータ連携をするSMからすれば、さまざまな可能性が考えられる。
ポイントカードとのデータ連携により、このSIRU+を通じて、ユーザーの属性、住んでいる場所(よく利用する店舗から)、栄養状態がわかるようになる。
たとえば「30代女性、ビタミンAが不足がち、キャベツをよく購入している」という傾向があれば、キャベツと相性のよいビタミンAを含む食材やメニューの提案をする。また、ビタミンCの不足がちな人がいた場合、みかんとイチゴのどちらを購入する人が多いのかがわかれば、購入率の高い方をメーンにビタミンCを訴求する棚割りを考える。
また、これまでであれば、風邪が流行りやすい冬場の乾燥した時期には、顧客の購買傾向に関係なく、「ビタミンCを摂りましょう」と漠然と訴求するだけの売場も、「ビタミンC不足の顧客とイチゴの購入」が関連していることがわかれば、ピンポイントでイチゴの品揃えを厚くして、ビタミンCの摂取と風邪の予防を訴求する売場づくりができる。
つまり、店舗の利用客に合わせた「栄養軸×商品の購買動向」による販促が可能になるのだ。顧客の購買データは、買い物の翌日までには更新されるということだから、データの変化に合わせた、売場づくりの更新にも十分活用できる。
2020年4月30日からは新たに「食材入力機能」がSIRU+に追加された。ポイントカード連携店舗以外で購入した食材も、アプリへ登録できるようになったのだ。連携店からすれば、これまで以上に精緻な食生活の栄養バランスの分析が可能になり、健康ニーズ、栄養バランスを軸とした販促展開も可能になるということだ。
5月5日、政府は新型コロナウイルス特別措置法にもとづく緊急事態宣言を延長した。一方、自治体によっては、飲食店等への休業要請の解除も始まり、コロナ後の消費者の行動変容を見据えた動きも出てきている。
いまはっきりしていることは、オンラインを活用したやり取りやビジネスは、今後一層拍車がかかるだろうということだ。これまでは利用をためらっていた世帯でも、ネットスーパーを含めたECの利用が日常化していくにちがいない。SIRU+でも、年内中には、ECとの連携接続が可能になるという。