博報堂がスモールビジネスに熱視線 「食」のマーケットプレイスを展開するねらい

2025/10/08 05:00
吉牟田祐司

売り手と買い手が築く新しいコミュニケーション

Neighbors Food Market 2025年6月開催時の様子
Neighbors Food Market 2025年6月開催時の様子

 リアル商談会には食品を取り扱う小売・サービス・飲食・サービスの大手・有力企業に加えて、アパレル、家具を中心に扱うライフスタイルショップなどのバイヤーも来場した。

「食の領域ではない人たち、例えばインテリアショップの方がボトルのシロップなどを仕入れることで、お店の雰囲気が好きなお客さまがプチギフトで買っていくというような需要があるのではないかと考えている」(山下氏)

 「東京ビッグサイト」や「幕張メッセ」などで開催される大規模な商談会とは異なり、ビジネススーツを着込んだ参加者は少なく、会場はカジュアルな雰囲気。一般のマスマーケットでは見ないユニークな商品を取り扱っている店舗を展開する企業も数多く集まり、出展した生産者と話し込む姿が見られた。

「出展者、来場したバイヤーの方を問わず、たくさんの人に声を掛けられて『これほど質の高い食の展示会は今まで参加した中で初めて』と言われた」(山下氏)

Neighbors Food Marketのサイトトップ
Neighbors Food Marketのサイトトップ

 売り手として「Neighbors Food Market」のサイトに登録しているのは約200の生産者。買い手となるバイヤーはリアル商談会への来場をきっかけに約800となり、今なお増加傾向という。2025年9月からはサイト上でのマーケットプレイスと受発注管理サービスの有料プランも提供している。

 リアル商談会に足を運んだ博報堂の社員も多かった。「Neighbors Food Market」の売り手と買い手をつなぎ、新しいコミュニケーションを築く取り組みは社内でも注目されているようだ。

「これまでは、ものをつくる側、売る側、それぞれとの付き合いはあっても、その先の“出口”がなかった。両者を結ぶ仕組みをつくったことが評価され、価値や可能性を感じてもらえているのではないか」(山下氏)

「小売・飲食業界の売場はもちろん、地方のメーカーなども含めて、これまでに付き合いのなかった領域に接点ができ、つながりが持てる。既存の事業とも連携した取り組みもできそうだと受け止められている」(飯沼氏)

Neighbors Food Market参加者集合写真
Neighbors Food Market参加者集合写真

 これからは中規模事業者や自治体との取り組みも増やし、さまざまなバイヤーの要望に応えながら、思想や価値観を同じくするコミュニティを「食」の領域で広げていくつもりという。オンラインとオフラインの両軸で展開する博報堂のスモールビジネス支援は、どのように広がっていくか。クリエーティブな視点・発想での付加価値の提供も含めて、展開が気になる。

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