博報堂がスモールビジネスに熱視線 「食」のマーケットプレイスを展開するねらい
広告会社大手の博報堂(東京都/名倉健司社長)が、オーガニック食品に中心に取り扱うグローサリーストアの「FOOD&COMPANY(フードアンドカンパニー)」の運営とともに、「食」のBtoBマーケットプレイスを展開している。そのねらいはどこにあるのか。担当部署である博報堂ミライデザイン事業ユニット ソーシャルイノベーション局のビジネスデザインディレクターである飯沼健太郎氏と山下納帆美氏に話を聞いた。
生産者とバイヤーをつなぐBtoB事業

「Neighbors Food Market(ネイバーズ フードマーケット)」は、生産者と小売店・飲食店をつなげる「食」のマーケットプレイスだ。2025年6月にはリアル商談会を東京・南青山のスパイラルホールで2日間にわたって開催。全国から60組の出展があり、小売店・飲食店などのバイヤー約1100人を集めた。34組が出展し、のべ800人が来場した前年に続く2度目の開催で、中規模事業者の出展も増えており、確実に規模を拡大している。
新規事業開発をミッションとし、博報堂にミライデザイン事業ユニットが開設されたのは2019年。その立ち上げから参画する飯沼氏は、もともと社内ベンチャーで手工芸品などを取り扱うCtoCのマーケットプレイス「iichi(いいち)」を創業して運営していた。ほかにも新規事業の立ち上げや起業の経験者が集まり、脱炭素社会を推進する共創型プラットフォーム「Earth hacks(アースハックス)」、ウェルビーイングをテーマとするWebメディア「Wellulu(ウェルル)」を生み出すなどの成果をあげている。

この「Neighbors Food Market」につながる事業が生まれたのは2021年。コロナ禍で外出を控える暮らしが続く中、フードデリバリーだけでなく、ミールキットなど食材の宅配、産直のお取り寄せ通販といったサービスの需要が急拡大していた。ただし博報堂で食品分野のマーケティングを支援することはあっても、生産者とのネットワークを直接築いているわけではなく、FOOD&COMPANYとコラボレーションすることになった。その経緯を飯沼氏は次のように話す。
「FOOD&COMPANYのセレクトされた商品や店舗が好きで個人的に通っていた。主力事業は小売ながら、コンサルティングやMD、マルシェの受託運営なども事業として手掛けている。加えて何よりも、彼ら自体が魅力を感じて長年付き合っている仕入先が数百社あり、BtoBで生産者とバイヤーをつなぐのはどうかと提案した」





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