九州のラーメンを世界へ発信! 福岡の人気店「秀ちゃんラーメン」のユニークな海外戦略

小内三奈

リスクがあってもラーメン文化を広げ続ける

台湾の店舗「Totto Ramen Taiwan(鳥人拉面台湾総店)」
台湾の店舗「Totto Ramen Taiwan(鳥人拉面台湾総店)」

 海外展開に挑戦するうえで河原氏が常に意識しているのは、日本人が当たり前に持つ”ラーメン観”は決して世界共通のものではない、ということだ。

 たとえば、ニューヨークのラーメン店では来店客の滞在時間がなんと平均80分。日本のように「ラーメンはサッと食べて帰るもの」ではなく、ラーメンは食事というより「お酒あり、会話ありのエンターテインメントの場」になっているのだという。日本では考えられない光景であるが、文化の違いを尊重したうえで、酒類の提供や居酒屋的なサイドメニューの強化も進めている。

「そもそも『ラーメン』という料理そのものの認知度が低い国もまだまだ多い。ラーメンとうどん、そばの違いを知らない人もめずらしくないため、その違いを説明するところから始める必要があることも多い。そして、ラーメンが伸びていても誰も気にしない(笑)。ラーメンを熱いうちに食べることより仲間とゆっくり話す時間を大切にしているので、早く帰ってとは言えないし受け入れるしかない」(河原氏)

 こうした困難や文化の違いがあっても、今後も海外展開に果敢に挑戦する考えだ。それどころか、むしろ「海外の方がおもしろい」と河原氏は語る。

「海外はレギュレーションも厳しく、手間も多い。『リスクしかないのになぜ海外でやるのか?』とよく聞かれるが、目の前に落とし穴があったら、あえて落ちてみる性格。失敗してもそこで得られる学びや達成感は、国内では味わえないものがある」

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